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【今週のJERA セ・リーグ】福留、山井、石川、2021年も奮闘を続ける“オーバー40”の男たち!

 2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。春季キャンプでは真新しいユニフォームに袖を通したルーキーたち、レギュラー奪取を狙う若手たちがしのぎを削っている。

 その一方で、熟練の技と不屈の闘志で戦い続ける百戦錬磨のベテランたちがいる。昨季限りで、五十嵐亮太、藤川球児、石原慶幸、細川亨、久保裕也、渡辺直人の6人の40歳代選手が現役を退いた中、今季も現役で戦い続ける“オーバー40”の男たち。セ・リーグでは3人。彼らに、改めて敬意を払いたい。

【写真提供=共同通信】今年の4月に44歳となる球界最年長プレイヤー・福留孝介(中日)。14年ぶりの古巣復帰で高いモチベーションを持って開幕へ向けて調整を続ける。

【写真提供=共同通信】今年の4月に44歳となる球界最年長プレイヤー・福留孝介(中日)。14年ぶりの古巣復帰で高いモチベーションを持って開幕へ向けて調整を続ける。

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 今季のシーズン開幕を40歳代で迎える選手は、セ・パ両リーグで計5人。その中でセ・リーグ球団所属は3人いるが、昨年から引き続き日本球界最年長プレイヤーとして君臨するのが、福留孝介(中日)である。

 1977年4月26日生まれの43歳。PL学園高から日本生命を経て1998年のドラフト1位(逆指名)で中日に入団。2008年から5年間はメジャーでプレーし、2009年に日本球界に復帰して阪神に8年間所属。その間、2度の五輪(1996年アトランタ、2004年アテネ)とWBC(2006年、2009年)に出場した男が今季、14年ぶりに古巣復帰を果たした。左の代打、切り札として勝負強い打撃と自らの経験を若手に伝えることが期待されているが、より多く出場し、個人としては残り91本となっている通算2000安打が一つのターゲットだと言える。

 メジャー5年間で498安打をマークしており、すでに日米通算では大台突破を果たしている福留だが、NPBのみでの達成(過去53人)は自らの価値をさらに高めるものになる。ただ、今季中に達成するためには、最低でもヒット数と同程度の試合にスタメン出場する必要がある。

 春季キャンプでは順調な調整ぶりで、自身今季初実戦となった2月20日の練習試合・阪神戦では「3番・DH」で出場して2四球1犠飛で、しっかりと打点をマーク。このままコンディションを上げ、早い段階で存在感を示したいところ。昨季は極度の打撃不振で出場43試合でわずか12安打に終わったが、そこからの巻き返しで、どこまで通算2000安打まで近づけるか。優勝争いの中で達成することができれば最高だ。

 続く2人目は、球界最年長投手である山井大介(中日)だ。1978年5月10日生まれの42歳。神戸弘陵高から奈良産業大、河合楽器を経て2001年ドラフト6巡目で中日入りし、チーム一筋に今季でプロ20年目を迎える。長年に渡って先発、中継ぎ両方の役割をこなしながらコツコツと実績を重ね、2014年に最多勝のタイトルを獲得。2018年にはプロ野球史上9人目の40代での完封勝利も達成した右腕だ。

 2007年に記録したNPB史上初の「継投での完全試合」でも有名な男だが、その印象度に相反して、過去に2ケタ勝利をマークしたのは2018年の1度のみで、5勝以上も5度と少ない。それでも要所で存在感を示してきたが、昨季はリリーフで6試合に登板して防御率9.00と振るわず、自身11年ぶりの未勝利に終わった。今季は復活と生き残りを賭けた正念場のシーズン。春季キャンプでは初日から精力的な投げ込みを行っており、開幕後は福留との「球界最年長コンビ」によるヒーローインタビューを是非とも期待したい。

 最後の一人が、石川雅規(ヤクルト)だ。1980年1月22日生まれの41歳。秋田商高から青山学院大を経て、2001年ドラフトの自由獲得枠でヤクルトに入団した身長167センチの左腕。多彩な変化球を自在に操り、1年目から12勝を挙げて新人王に輝くと、以降、先発ローテーションを守り続けて通算11度の2ケタ勝利を達成(現役最多)。2008年には最優秀防御率のタイトルも獲得している。

 まさに“小さな大投手”の呼び名の通りの働きぶりを見せてきたが、昨季は自身3年ぶり9度目の開幕投手を任されながらも、自己ワーストの2勝(8敗、防御率4.48)止まり。白星に見放される間にコンディションも崩して不甲斐ないシーズンを過ごした。巻き返しへ向け、春季キャンプでは初日からブルペン入りし、実戦初登板となった2月21日の練習試合・楽天戦では先発して2回無失点の好投。残り27勝となっている通算200勝へ向け、まずは今季、自身12度目の2ケタ勝利を狙いたい。

 毎年、多くの選手が去来するプロ野球の世界。パ・リーグでは、能見篤史(オリックス)、松坂大輔(西武)、和田毅(ソフトバンク)の3 人が“オーバー40”の選手として今季の開幕を迎える。さらに今年中に、鶴岡慎也(日本ハム)、藤井淳志(中日)、鳥谷敬(ロッテ)、糸井嘉男(阪神)、髙谷裕亮(ソフトバンク)が40歳の誕生日を迎える。論語の中に『四十にして惑わず』の言葉があるが、この『不惑』には「40歳になって物の考え方に迷わなくなった」という説明の先に、「枠にとらわれずに自由に物事を見る」という意味があるという。プロ野球の世界で酸いも甘いも知り尽くした男たち。彼らの枠にとらわれない、予想を裏切る大活躍を、大いに期待したい。