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「2020シスタージャビットカップ」の決勝進出チーム決定! コロナ禍での熱戦と大会実施の意義

東京都内・川崎市の女子学童地区選抜チームによるトーナメント大会「2020シスタージャビットカップ」の準決勝2試合が7日、墨田区の錦糸公園野球場で行われ、江戸川エンジェル(江戸川区)とオール葛飾(葛飾区)の2チームが決勝進出を決めた。

 2017年度王者の江戸川エンジェルは、今大会の1回戦から9対2、10対0、7対0という貫禄の試合運びで準決勝進出。この日の相手は、2016年度王者のレディース立川(立川市)。先手を奪われる試合展開も、足を絡めながら2回に4点、3回にも2点を奪って6対3の逆転勝利。「先制されましたが、何とか早い回で逆転できて良かったです」と江戸川エンジェルの鮫島徹郎監督。通算3度目の決勝戦へ向けて「今回、決勝戦を江戸川区の球場でやるということなので、地元で優勝したい」と意気込んだ。
 敗れたレディース立川は、初回にランニングホームランで2点を奪ったが、2回以降は相手の勢いのある攻撃に飲まれた形。それでもチームを率いた木﨑茂監督は、「都の大会は1回戦で負けたんですけど、そこから約1カ月の間に子供たちがよく頑張って、ここまで勝ち上がることができた。今年はコロナの影響でチームとしての練習がほとんどできなかったんですけど、そういう中でもこのような大会を開いてくれたことに感謝したい」と笑顔で子供たちのプレーぶりを称えた。

決勝進出を果たした江戸川エンジェルナイン。はつらつとしたプレーぶりが光る

準決勝で敗れたものの、堂々とした戦いを見せたレディース立川ナイン

 オール葛飾は初の決勝進出。今大会は1回戦から13対3、9対1、8対4というスコアで勝ち上がったが、この日は八王子スマイリーズ(八王子市)に初回から試合の主導権を奪われ、最終回の攻撃を迎えた時点で3対7の4点ビハインドという苦しい展開。しかし、そこから連打で4点を奪って同点に追い付くと、タイブレークで無死満塁のピンチを無失点で切り抜けた後に2点を勝ち越して9対7の勝利。白熱の大激戦を制したオール葛飾の弓場大介監督は「最後まで諦めないというのがチームの方針。まさに今日は最後まで諦めない戦いができた」と笑み。「コロナの心配はありましたけど、大会スタッフの方々がいろいろと対策をしていただいて、こちらも安心して参加できました。決勝戦も、選手たちの頑張りに期待したいと思います」と話した。

逆転勝ちで初の決勝進出を決めたオール葛飾ナイン。

 まさかの逆転負けを喫した八王子スマイリーズの渡辺輝監督も「向こうが諦めなかった」とオール葛飾の粘りに脱帽。それでも、コロナ禍で合同練習ができなかった状況で「ほとんどぶっつけ本番でしたけど、よくここまで勝ち上がれました」と3位メダル獲得には満足。キャプテンとして試合をまとめた座間日和さん(6年生)は「みんな仲が良くて、チームワークが良かった」と振り返りながら「個人的には今日ぜんぜん活躍できなくて悔しかったので、もっともっと練習して、もっと打てるようにしたい」と決意。エースとして奮闘した二瓶蘭さん(6年生)は「もっとできた」と悔しさを見せながらも、「この大会に出られて良かった。これからも楽しく野球をしていきたい」と笑み。横山栞菜さん(6年)も「悔しかったけど、楽しい試合でした。この経験を忘れずに、これからも頑張りたい」と笑顔で前を向いた。

逆転負けという悔しい結果であったが、試合後は3位という結果に充実感を見せた八王子スマイリーズの選手たち

 2015年に創設された「シスタージャビットカップ」は、今回で5度目の開催。女子学童チームの目標となる大会を設立すると同時にプロ野球をより身近に感じてもらうことを目的に、第1回大会は川崎市7チーム、東京都31チームの計38チームが参加。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催が危ぶまれたが、「緊急事態宣言が解除されていること」から実施に向けて動き出し、「大会参加者全員の安全面を最優先で考えて対応する」、「新型コロナウイルス感染防止ガイドライン(スポーツ庁・全日本軟式野球連盟・各参加連盟等)を参考に、球団でガイドラインを作成する」、「出来る限り長時間の移動を伴わないように、東地区・西地区で纏めて試合が開催出来るようにトーナメント表を作成」など、徹底した感染予防対策を講じて6月末に開催を決定。8月8日の開幕戦から試合を重ね、この日の2試合を終えて、残りは今月22日の決勝戦(江戸川区球場)を残すのみとなった(決勝戦終了後に東西オールスター戦を実施)。

大会運営の事務局担当者である十川孝富氏は、大会運営が順調に進行していることに対して関係者の協力をあげた

 大会運営の事務局担当者である十川孝富氏は、「まず第一に、大会に携わるすべての方々のご尽力があるからこそ、開催することができました」と関係者の協力に感謝。昨年の12月に野球振興部に異動し、今大会の運営担当は今年が初めて。「僕自身、小さい頃から選手としてプレーしていた立場だったので、運営側の大変さはそこまで分からなかった。父兄の方々も含めて、多くの人の助けがあってこそ大会が開催できているんだなと改めて思います」と語るとともに、コロナ禍での大会実施に「テーマである『交流と親善』のもとで、選手たちが友情を深め、野球の楽しさを体験してもらいたい。野球界を盛り上げて、巨人軍にも興味を持ってもらって、選手たちに夢や希望を与えられる大会にしたい。女子野球の人口が増えて、将来的には女子プロ野球やマドンナジャパンの一員となって活躍できるようなスター選手が誕生する日を楽しみにしています」とエールを送った。この日、試合途中で小雨が降ってきたが、そのことを忘れるほどの熱戦に、子供たちの逞しさと未来への希望が溢れていた。