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早大の楽天ドラフト1位・早川隆久が15奪三振完投!ヤクルト1位・木澤尚文擁する慶大を倒し優勝は最終戦へ【11/7 秋季東京六大学野球 慶應義塾大学vs早稲田大学】

 2020年11月7日、東京六大学秋季リーグの最終節となる早慶戦の1回戦が行われ、3対1で早大が慶大に競り勝って優勝の行方は8日の最終戦に持ち込まれた(今季は勝利に1ポイント、引き分けに0.5ポイントが与えられ、早大が7.5ポイント、慶大が7ポイントなった)。

背番号10を背負う主将の意地を見せた早川

 早大の楽天ドラフト1位左腕・早川隆久(4年・木更津総合)と慶大のヤクルトドラフト1位右腕・木澤尚文(4年・慶應)の壮絶な投げ合いが試合序盤から展開され、5回をともに無失点で終えた。

 試合が動いたのは6回裏。早大の3番・瀧澤虎太朗(4年・山梨学院)がライト前にタイムリーを放って先制に成功した。しかし、直後の7回表に慶大は4番・正木智也(3年・慶應)が二塁打を放つ。その後に犠打で三塁まで進むと、代打・藤元雄太(4年・慶應)のショートゴロに思いきりの良いスタートを切って本塁に生還。すぐさま同点に追いついた。

 それでも試合を決したのは2018年の侍ジャパンU-18代表の早大・蛭間拓哉(2年・浦和学院)のひと振りだった。7回裏、1死一塁から木澤の抜けたスプリットを振り抜くと打球は逆方向のレフトスタンドへ。値千金の勝ち越し2ランとなり、これが決勝点となった。

 この援護に早川は「点を取ってもらったすぐ後に失点していたので、蛭間から“先輩、しっかりしてくださいよ”と言われているようでした」と振り返るように気を引き締め直した。すると8回は1安打こそ許すものの後続をしっかりと抑え、9回も最後はこの日15個目となる三振を奪って試合を締めた。

 試合後、早大・小宮山悟監督は「普通に投げていれば打たれるわけがない。大学ナンバーワンの投手だと確信しています」と最大級の賛辞を送り、「早川は明日も投げます」と明言。早川も「明日も相手投手を意識することなく、自分の投球をできるように向き合っていきたいです」と気持ちは既に明日に向いていた。
 一方で、投げ負けた木澤は「どうしても今日決めたかったので申し訳ないです」と悔しさを噛み締めた。そして明日の最終戦に向けて「すべてを出しきりたいです」と、こちらも連投を志願した。
 泣いても笑っても両エースにとって学生野球最後となる一戦は、天皇杯をかけた重要な一戦となる。

何度も雄叫びを挙げるなど気迫のこもった投球を見せた木澤だったが一発に泣いた

■慶應義塾大vs早稲田大1回戦
慶大 000 000 100=1
早大 000 001 20X=3
【慶】●木澤、関根-福井
【早】○早川-岩本
本塁打:早大・蛭間(7回2ラン)

◎慶大・堀井哲也監督
「(対早川について)左右それぞれの打者で狙っていくボールを練習してきましたが、それでもとらえられませんでした。配球も球種が多いですし、両サイドをしっかり使っていましたね。今日は今日。明日に向けて気持ちと体をしっかり整えて臨みます」

文・写真=高木遊