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高校野球

甲子園で春夏連続ベスト4 151キロ右腕は令和のエース候補 中森俊介(明石商高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】

中森 俊介 (なかもり しゅんすけ)
●守備 投手 ●身長・体重183cm・87kg
●生年月日 2002年5月29日 ●所属 明石商高
●球歴 三田ボーイズ ●出身地 兵庫県 ●投打 右右
【写真提供=共同通信】

 2020年、高校野球が選抜、選手権と普通に行われていたら、中森はどれほど活躍できただろうか。

 1年生の夏、甲子園で2回3分の1イニングを投げていて、昨年は2年生エースでセンバツと夏ともベスト4に残った。今年のセンバツにも選ばれていたし、夏の選手権も出ていれば、5季連続出場が夢ではなかった。

 センバツは国士舘、大分、智弁和歌山に勝って東邦に敗戦。夏は花咲徳栄、八戸学院光星に勝って履正社に敗れた。それぞれ、常連校に勝って優勝校の前に涙をのんだわけだ。智弁和歌山、花咲徳栄には1点差完投勝利を挙げている。

 高校生の中で、一番、場数を踏んでいると言っていいだろう。

 当初から「高卒からドラフト1位でプロ入り」を公言してきた。だが、コロナによって事情が変えられてしまう。『大学進学か』という噂が立ち始めた。進路が揺れていた時期があったという。

 自粛期間明けの練習試合で得点を許し、兵庫県の独自大会でも最初の3試合、14イニングを無失点に抑えながら、準々決勝でタイブレークに入って登板すると11回に逆転サヨナラのヒットを打たれ、無敗の夢は破れた。

 甲子園の交流試合は桐生第一に2失点。狭間監督からの指令は「まだ、やったことのない完封」。これも果たせずに終わった。「交流戦は後半、下半身に粘りがなくなって、体力が落ちた。フォームが安定しなかった」という。「イマイチでした」と表情はさえなかった。

 高卒ドラ1でタイトルを取るという自分の描いた結果とは、かけ離れている。これで、プロに行っていいのだろうか。

 そこで、原点に返った。子供の頃から夢見ていたプロの世界。扉は開かれている。ならば、素直に挑戦しよう、と決断した。

 なかなかプロ志望届が提出されなかった裏には、そんな葛藤があったようだ。

 本人の目標は巨人の菅野投手。

 2年夏の八戸学院光星戦、最速151キロを計測した。常時、140キロ終盤のストレートを投げる。操る変化球はスライダー、チェンジアップ、フォークボール。甲子園で53回3分の1イニング、17失点。交流試合を含めれば甲子園6勝を挙げている。

 あるスカウトは「本調子ではなくてもゲームを作れる。高校生の中では完成度は高橋より上かも。両コーナーへの真っすぐの制球、変化球を低めに集めることが出来、いつでもストライクを取れる感覚を持っている。プロで勝つための要素を兼ね備えているということ。甲子園の実績からカリスマ性もあるし、令和のスターになれる」と評価する。

 ローテーション入りも意外に早いかもしれない。

 1位指名は間違いなく、3球団ぐらいで競合してもおかしくない。