BASEBALL GATE

WORLD BASEBALL

WORLD BASEBALL

2019 WBSC プレミア12 世界の野球強豪国 台湾のメンバー紹介【WORLD BASEBALL vol.40】

 侍ジャパンはオープニングラウンドを台湾で戦うことになっているが、ホスト国の台湾は、この大会に来年の東京五輪の出場権がかかっているだけに目の色が違う。

 台湾がこの大会で五輪出場権を獲得するには、ソウルラウンドを戦う韓国、オーストラリアを上回る成績を残すことが条件となっている。つまりは、オープニングラウンド突破は至上課題ということだ。そのために、台湾プロ野球の精鋭と、日本のプロ野球でプレーする選手でナショナルチームを結成した。

 日本のプロ野球からは、王柏融(日本ハム)、陳冠宇(登録名チェン、ロッテ)、張奕(オリックス)、宋家豪(楽天)の4人が当初選ばれていたが、宋が肘の違和感を訴え合宿初日にチームを離脱することになった。

 残る王には打線の主軸、2投手には、アメリカ3Aでの経験もあり今シーズン20セーブのクローザー、陳鴻文までつなぐ役割が求められるものと思われる。しかし、台湾には慢性的な投手不足という事情があることを考えると、先発投手の駒不足が懸念され、陳の先発起用もあるかもしれない。

 日本にゆかりのある選手としては、阪神、横浜DeNAでプレーした鄭凱文(中信兄弟)もメンバー入りしている。鄭は外国人投手が幅を利かせている台湾リーグにあって今シーズン台湾人投手として2位の11勝を挙げ、ゴールデングラブ(GG)賞を獲得している。今大会では、エース的な役割を求められるだろう。

 投手陣を支えるの強打の捕手、林泓育(ラミゴ)になるだろう。これも当初は、今シーズンのGG賞捕手、林祐楽(統一)に守りは任せ、林泓育は指名打者として打撃に専念させる手もあったが、林祐楽もまた合宿直前に代表チームを離脱、林泓育に攻守とも頼らねばならない状況になっている。

 それでも、ファーストに入るであろう同僚の陳俊秀、同じくホームランキングの外野手、朱育賢、それに昨年までチームメイトだった王の「ラミゴ・カルテット」が侍ジャパンをはじめとする世界レベルの投手相手にどれだけ通用するのかも楽しみだ。

朱育賢(ラミゴ)

【朱育賢(ラミゴ)】

 ディフェンス面に目を転じると、ともにGG賞の王威晨、王勝偉の中信兄弟が誇る「ダブル・ワン」が、三遊間を固めてくれるだろう。外野陣も、蘇智傑(統一)、林哲瑄(富邦)、張志豪(中信兄弟)のGG賞トリオが揃ってメンバー入りしており、セカンドの経験もある元メジャーリーガーの胡金龍(富邦)、日本ハムの王などとの兼ね合いで活躍の場が与えられることとも思われる。

蘇智傑(統一)

【蘇智傑(統一)】

 日本と違い、台湾では代表監督は現役のプロ監督から選ばれる。ここ数年はラミゴ監督の洪一中がこれを務めることが多く、今回も彼がチームを率いるほか、ピッチングコーチとして、アジア人初のMLB最多投手となった王建民がベンチ入りする。

文・写真=阿佐智