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南米の野球選手輩出国ベネズエラ ~後編~ 日本野球と深い関係性を持つ国の現状とは?【WORLD BASEBALL vol.22】

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 前編はベネズエラ野球の歴史について紹介した。後編は、ベネズエラと日本の野球を通じたかかわりとベネズエラ野球の現状について紹介してゆく。
  
 日本とベネズエラの野球を通じたかかわりを示すのは、両国の選手の移動に端的に現れている。これまで幾多のベネズエラ人選手が日本でプレーしたが、その先駆者は1975年に来日し、阪急ブレーブス黄金時代の名セカンドとして名を馳せたボビー・マルカーノだ。

 一説では彼には日系人の血が流れているともされ興味深い。

 彼を皮切りに、ルイス・サンチェ(元巨人)、ホセ・カスティーヨ(元横浜, ロッテ)、それに外国人選手初の2000安打を達成した現横浜DeNA監督アレックス・ラミレスなど多くのベネズエランが日本プロ野球に爪痕を残した。

 逆に日本人選手もベネズエラウィンターリーグでプレーしている。2003-04年シーズンに当時ホワイトソックス傘下のマイナーに在籍していた元ダイエーの養父鉄投手がロスリャノス・パストラでプレーしたのが最初で、その後、マック鈴木(元オリックス、ロイヤルズなど)、野茂英雄(元近鉄、ドジャースなど)、前川勝彦(元近鉄など)、村田透(日本ハム)、渡辺俊介(元ロッテ)が、ベネズエラ球界に身を投じた。

現在日本ハムでプレーする村田透は、2016-17年シーズンをベネズエラの名門・マガジャネスで送った。(写真・本人提供)

現在日本ハムでプレーする村田透は、2016-17年シーズンをベネズエラの名門・マガジャネスで送った。(写真・本人提供)

 現在国内ウィンターリーグは、8球団で構成され、各チーム64試合のレギュラーシーズンの後、上位6チームがポストシーズンに進む。この6チームが1位対6位、2位対5位、3位対4位というふうに上位チームに有利な組み合わせで7戦4勝制の第1次ラウンドを争う。

 この勝者3チームと敗者のうち勝率が一番良かった(同率のチームがある場合は1ゲームプレーオフを行う)チームが同じく7戦制の第2次ラウンドに進む。そしてその勝者が年度優勝チームを決めるチャンピオンシップシリーズに進むというポストシーズン重視のフォーマットを採用している。

ベネズエラウィンターリーグは8球団から成っている。

ベネズエラウィンターリーグは8球団から成っている。

 産油国という元来の豊かさと圧倒的な野球人気のせいか、プロ各球団の使用するホーム球場は、いずれも収容1万5000人を超える立派なもので、外野席を備えた球場も複数存在する。そしてMLBには100人を越える人材を輩出しており、この国はいまやドミニカに次ぐ人材供給地となっている。

 しかし、近年の対米関係の悪化に伴う政治・経済の混乱はこの国野球にも暗い影を落としている。昨冬は、遠征からの帰途、現役メジャーリーガーを含むウィンターリーグの選手が強盗に襲われ死亡した。

 このような治安状況の悪化に、開催が予定されていたカリビアンシリーズも開催地をパナマに振り替えるという事態になった。

文・写真=阿佐智