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2019.08.11 12:00
2019 WBSC プレミア12出場国の展望 ~オーストラリア編~【WORLD BASEBALL vol.23】
この秋に開催されるプレミア12出場国を紹介してきたが、これからは各国の戦力について紹介していく。現時点で、各国ともロースターが発表されていないので、あくまで予想と展望となってしまうのだが、まずは、今世紀に入って盛んに代表チームによる交流がなされているオーストラリアから見てみたい。
今大会のナショナルチームも、国内ウィンターリーグ(ABL)でプレーするベテランに、アメリカ・マイナーリーグでプレーする若手という編成になることだろう。
国内のトッププロスペクトはABLで頭角をあらわすと、マイナー契約を結んでアメリカへ渡るが、多くの者はメジャーへの夢が絶たれると、25~27歳をめどに帰国し、セカンドキャリアを探しながらABLでプレーを継続する。
そういう野球事情もあり、今大会の主力は経験豊富な「国内組」が占め、足りない部分を国外でもプレーする若手が補うという構図になると、私は見ている。
昨冬、ABLを取材したが、その際も、長らくナショナルチームの扇の要を守ってきたアラン・デ・サンミゲル、打線の中軸を担ってきたルーク・ヒューズ(ともにメルボルン・エーシズ)のベテランふたりは、もう代表入りは当たり前かのようにプレミアへの抱負を口にしていた。
3Aまで上り詰めたサンミゲルは31歳となるが、まだ所属チームでは正捕手に君臨。35歳になる元メジャーリーガーのヒューズも、かつてのようにセカンド、サードではなく、ファーストが「本職」になっているが、40試合のレギュラーシーズンで3割を超える打率を残し、ホームランを10本記録するなどまだまだ打棒は健在。プレミアでも主力となるのは間違いないだろう。
内野の要・ショートは代表常連のローガン・ウェイド(ブリスベン・バンディッツ)が守るだろう。昨冬は、故障などもあり17試合の出場に留まったが、打率.329を残すなど、オーストラリアナンバーワンショートの座は揺るがない。本人もプレミア12の舞台を心待ちにしている。
ただ、昨年春の侍ジャパンとの強化試合で2試合ともに完封負けを喫したように、強豪国の投手陣相手では、ABLの主力打者レベルでは苦戦を強いられるのが現実だ。そういう意味では、今年A級ミッドウェストリーグのオールスター戦にも出場した21歳の外野手、ウルリッチ・ボジャースキー(パース・ヒート/タイガース傘下)のような若い力加入も必要となってくるだろう。
投手陣に目を転じてみると、今年メジャーリーグ・オールスターのマウンドに立ったリアム・ヘンドリックス( オークランド・アスレチックス)ら本来の主戦級となるメジャーリーガーの参加が見込めない中、実績のある昨冬のABL最多勝(7勝)投手のスティーブン・ケント(キャンベラ・キャバルリー)、楽天でもプレーしたトラビス・ブラックリー(ブリスベン・バンディッツ)に頼らざるをえないのであろうが、これもプロリーグを擁する強豪国相手では苦戦を強いられるだろう。
日本でのスーパーラウンド進出には、戦力が同等のカナダ戦を確実にものにし、韓国、キューバ戦でのジャイアントキリングが必要になってくる。
文・写真=阿佐智