- プロ野球
2019.07.04 12:00
プロリーグの発足と台湾野球の現在~後編~【WORLD BASEBALL vol.18】
前回紹介したように、日本と台湾の野球を通じた交流の歴史は深い。2002年には、戦後初の海外公式戦として福岡ダイエー(現福岡ソフトバンク)対オリックスの試合が台北で行われている。
アジア第3のプロリーグとして発足した中華職業棒球大聯盟(CPBL)は、今年30回目のシーズンを迎えた。
1990年に4球団からリーグ戦を開始したCPBLは、プロ野球誕生を待ちわびた民衆によりいきなり人気が沸騰し、1996年には7球団まで増加。1997年は、ライバルリーグの台湾職業棒球大聯盟(TML)が発足すると、人口約2000万人の島に11球団がひしめき合う状況となった。
球団数の増加に選手の供給が追い付かず、また選手の待遇改善がなされない中、野球賭博をめぐる八百長問題が度々起こると、世紀をまたぐ頃には台湾プロ野球は低迷期に入った。それでも、2003年になってようやく、CPBLがTMLを吸収するかたちでプロ2リーグが統合され、4球団制で再スタートが切られた。
現在は、前後期に分かれた各球団120試合のレギュラーシーズンの後、ポストシーズンを経て、年度優勝を決定している。近年は、スタジアムのエンタテインメントの充実、オーストラリア野球連盟との提携強化、日本球界との積極的な交流などにより、国内の野球人気は回復傾向にある。
しかし低迷期の影響もあり選手の待遇改善は進まず、このことは日米のプロリーグへの選手流出を招いている。指導者からは、国際大会での低迷の原因をこのことに求める指摘も出ている。
3回出場したオリンピックでは、1992年のバルセロナにおける銀メダルが最高で、2008年の北京大会では、格下の中国に負けるという屈辱を味わっている。この「悲劇」は、翌年のWBC第2回大会においても繰り返され、第1次ラウンドを最下位で終えている。
そのため予選からの出場となった第3回大会だが、ここでは決勝トーナメント進出は逃したものの、第2ラウンドで侍ジャパン相手に善戦し、台湾国民を熱狂させた。しかし、前回2017年の第4回大会では第1次ラウンドで自国開催の韓国とともにまたもや第2次ラウンド進出を逃し、アジア野球の低迷を印象付けることになる。
また、2015年に自国開催(日本と共催)したプレミア12においても、決勝トーナメント進出を逃すなど、2001年に自国開催したIBAFワールドカップの国際大会での銅メダル以降、国際舞台での存在感は薄くなっている。
昨年夏にインドネシア・ジャカルタで行われたアジア大会においても、プロアマ混成チームで臨んだものの、オールプロの韓国はおろか、侍ジャパン社会人代表で臨んだ日本にも格の違いを見せつけられ、ナショナルチームをアメリカ独立リーグに参加させている中国の足音がすぐそばまで来ていることを印象づけた。
そういう意味では、3連覇を飾りながら1999年シーズン終了をもって解散した味全球団の復活が決定するなど、プロリーグの人気回復基調の中、東京オリンピック予選も兼ねたこの秋のプレミア12は、台湾野球にとって重要な大会になるに違いない。
文・写真=阿佐智