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2019.07.01 19:16
激戦区突破へ!元侍ジャパン戦士たちの逆襲 星野恒太朗、星子海勢、深浦幹也(福岡大大濠高)【Future Heroes Vol.19】
中学時代に誰もが憧れる侍ジャパンのユニフォームを着て国際大会を戦った選手たち。3年生世代では及川雅貴(横浜)宮城大弥(興南)らがドラフト候補となり、2年生世代でも度会隆輝(横浜)や内山壮真(星稜)らがすでに甲子園の土を踏んでいる。
その中でも激戦区・福岡の福岡大大濠でも、かつての侍ジャパンU-15代表戦士たちが甲子園出場とさらなる飛躍を目指し奮闘を続けている。
チームを攻守そして主将として引っ張る星子は、小学生時に福岡ソフトバンクホークスジュニア、中学生時に侍ジャパンU-15代表に選出。「侍だったということに甘えず、県外でさらにレベルアップをしたかったので」と故郷の熊本から福岡の名門校に入学した。
寮生活でも優しい先輩たちに囲まれ、1年夏からベンチ入り。侍ジャパンU-18代表だった2学年上の古賀悠斗(中央大)からは捕手としてのあらゆることを学んだ。
1年秋からは正捕手を務め、高校通算本塁打は50本に迫る勢いだ。秋の新チームからは主将に就任。「共有と継続」をテーマに掲げて、秋の悔しさを糧に全員で課題克服やさらなる成長を目指してきた。春は福岡大会3位で九州大会に出場し8強入りしたが「こうしたところで勝ちきれないと夏の甲子園は無いと思います」と厳しい表情で語る。
侍ジャパンでの経験は「試合では今も緊張はしますが、それを良い方向に持っていくことができるようになりました」と大舞台に慣れていることは、プレッシャーのかかる最後の夏に大いに生かされそうだ。八木啓伸監督も「彼は放っておいても責任と自覚は分かっているので、好きにやれと言っています」と笑うほど信頼を置いている。
星野はエースナンバーでこそ無いものの「この苦労が必ず今後の人生で生きていくと思います」と八木監督は話す。1年夏から登板を果たすが秋に右肘内側側副じん帯を損傷。手術には至らなかったが翌春まで投球ができず「スタンドからみんなの活躍を見ることが悔しくて複雑でした」と振り返る。
2年秋にはエースナンバーを獲得するも、好投手揃う中でこの春と夏は二桁の背番号を背負う。
野球人生初となる悔しさを味わいながらも「ひたすら一生懸命、一球一球腕を振って、先を考えずに一人ひとり抑えるようにしています」と一心不乱に取り組み、春の遠征時からは完投能力や制球力が上がっている手応えを感じている。
及川や野口海音(履正社)とは今も連絡を取ることはあり、九州大会で再会した宮城には投球時の下半身の使い方を教わるなど、その絆は今も続いている。そして彼らに続く甲子園出場に向けて「少しでも多くの貢献をチームにしたいです」と活躍を誓う。
さらに2年生の深浦幹也は、左腕から140キロを超えるストレートと鋭いスライダーなどを投じ、打撃でも中軸を担いプロも注目する存在。「レベルの高い中でプレーさせてもらった経験を生かしたいです。あの時の仲間が甲子園に出ていると羨ましいです」と、かつてともに戦った度会らの活躍に大きな刺激を受けながら大舞台を目指している。
他にも星野や深浦を抑えエースナンバーを背負う大型右腕・山下舜平大(やました・しゅんぺいた)、侍ジャパンU-15代表(軟式)だった山城航太郎の両2年生ら好素材が揃う。
悔しさを味わった逸材たちが一致団結して、今夏いかなる逆襲を見せるのか。その勇姿を楽しみにしたい。
文・写真=高木遊