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高校野球

「GO!GO!GO!」は“魔法の言葉” 主将・清宮発案、早実スローガンの効果とは


1月27日に第89回選抜高校野球大会の出場校が決定する。東京からは秋季都大会を制した早稲田実の出場が決定的。一昨年の夏以来初めて、高校通算78本塁打スラッガーの清宮幸太郎内野手が聖地・甲子園に帰ってくる。

■清宮がチームスローガンに込めた意図とは

 1月27日に第89回選抜高校野球大会の出場校が決定する。東京からは秋季都大会を制した早稲田実の出場が決定的。一昨年の夏以来初めて、高校通算78本塁打スラッガーの清宮幸太郎内野手が聖地・甲子園に帰ってくる。

 2年夏は西東京大会の準々決勝で八王子に敗れ、涙を飲んだ。敗戦後に移行した新チームで、清宮は主将を拝命。「東京を制して、選抜に行きたいと思います」と頂点を目指して動き出した。

 しかし、戦力が整っているとは言い難かった。

 3番・清宮、4番は1年生ながら抜擢の野村大樹内野手。この2選手の破壊力は全国トップクラスと言える。ただチーム全体の戦力という点では、関東一や二松学舎大付、日大三や創価の方が一枚上のように見えた。早稲田実は、投手陣に不安があったからだ。清宮と同学年で甲子園の土を踏んだ服部雅生投手がフォームを崩して伸び悩み、エースを誰にするか計算が立たず。さらに、捕手やセンターラインもなかなか決まらなかった。

■球速5キロ、飛距離5メートル、体重5キロアップ!

 そんな中、清宮は「自分の経験をどんどん伝えていこうと思いました」と、キャプテンとしてチーム全員に目を配った。試合経験の少ない1年生投手に声を掛け、1試合1試合戦い抜きながら、個々の力を上げた。1年生右腕の中川広渡投手が成長し、秋季大会では大車輪の活躍。池田徹、赤嶺大哉投手らも戦力となり、服部の不調をカバー。投手陣が支え合い、試合を作った。主将の声掛けで戦力としてまとまった投手陣に象徴されるように、チーム全体に心配りする清宮のキャプテンシーが頂点への原動力になったと言ってもいい。

 大きかったのは、新チーム結成時に清宮が発案したスローガン「GO!GO!GO!」の存在だった。

「GO=5」で「投手陣は球速5キロ、打者は飛距離5メートル、全員が体重5キロアップしようという目標があります」と意図を説明。目標をどうすれば達成できるか、選手たちは考えるようになった。迷った選手は、清宮にヒントを聞きに行く。こうしてチーム内の対話、結束が生まれた。

 簡単に達成できる目標ではない。球速、飛距離のアップは、体幹トレーニングの強化で実現を目指した。体重5キロアップも、必死に食事を口に運んだ。トレーニングが数字に結びつかない選手、なかなか体重が増えない選手に対して、清宮は優しく声を掛けて励ました。

■ベンチで連呼される「GO!GO!GO!」は“魔法の言葉”!?

 試合中のベンチでも、ナインはこのスローガンを叫んでいた。最初は照れくさく、大半の選手が声に出さなかったが、清宮は先頭に立って言い続けた。すると、次第にチャンスの場面で「GO!GO!GO!」と口にする選手が現れた。チームは勢いに乗る。勝利すると、同調する選手が増えていった。最後はベンチ全員がスローガンを叫んだ。いつの間にか、チームに勢いが出る魔法の言葉となっていった。

 各部門で5キロ(メートル)アップを目指すという狙いがあったが、その言葉の言いやすさがナインに浸透。昨年のチームスローガン「自ら学べ。一にこだわれ」に代表されるように、これまではなかなか試合中に大声で叫べるようなものではなかったが、今年のスローガンはそのキャッチーさが思わぬ効果を発揮した。

 単純明快なフレーズに見えるが、清宮はいくつもの意図を込めていた。清宮1人が突出するのではなく、チーム全体としてのレベルアップ、ベンチが沈まない雰囲気作りに成功した点に、今季の早稲田実の強さがある。全員野球で秋季大会を制した早実は、冬に一段と強化されたチーム力をもって、春の甲子園で頂点を目指していく。

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