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スター候補たちに叩き込んだ「全員野球」中日・湊川誠隆監督と阪神・八木裕監督が伝えたかったこと【NPB12球団ジュニアトーナメント】

12月29日、札幌ドームで「NPB12球団ジュニアトーナメント2017 supported by日能研」の決勝戦が行われ、中日ドラゴンズジュニアが阪神タイガースジュニアを破り、2年ぶり3度目の栄冠に輝いた。そして、激戦を繰り広げた両軍の監督が熱心に伝えてきたことの集大成となった試合でもあった。

健闘を称え合い記念写真に収まる選手たち


★「他の選手の活躍を喜べない選手たちは必要ない」

阪神ジュニアと中日ジュニアの決勝戦は、中日ジュニアの深谷空遊撃手が1回と4回に見せた美技などにより、両者譲らぬ0対0で最終7回まで進んだ。それは、関係者たちが口々に「過去最高」と話していた大会全体のレベルを象徴するような決勝戦だった。

決勝戦のハイライトはこちら

試合を最後に決めたのは、中日ジュニア9番打者の木村明聖二塁手。一死二塁からレフトオーバーのエンタイトル二塁打を放って、二塁走者が生還しサヨナラ勝ちでの優勝が決まると、中日ジュニアの選手たちは喜びを爆発させ、阪神ジュニアの選手たちは悔しさをこらえきれず多くの選手が涙を流した。

熱戦を繰り広げた両軍監督が3ヶ月から4ヶ月の長い活動期間をかけて、特に熱心に伝えたのが全員野球の大切さだった。

「スーパースターの集まりですが全員で戦う大切さを伝えてきました。バット引きやボール拾いでさえ経験したことの無い選手たちもいる。でもこの期間で学んだこと、肌で感じたことが必ず成長に繋がると思います」(中日ジュニア・湊川誠隆監督)

「強いから勝つのではない。どうやって工夫して全員で勝利を目指すのかということを伝えてきました。ベンチでも声を出して励まし合うなど役割を理解してくれました。それはこれからも肝に銘じてやってほしいです」(阪神ジュニア・八木裕監督)

そして両チームとも、練習や練習試合を重ねて適性を見極め、試合の中でそれぞれ役割を与えて大会4試合で全選手が出場。それぞれが活躍を見せた。

湊川監督は今年のチームの結団式で「他の選手の活躍を喜べない選手たちは必要ない」と選手たちに伝えた。そして、その言葉を誰よりも実践したのが江崎直人主将だった。控え捕手という立場であったが「チームみんなが楽しく、本来の力を発揮できるように大きな声を出しました」とチームを盛り立て、最後は選手たちによって胴上げされて宙を舞った。

この大会で各選手たちが得た数多くのものは、今後の人生にとってかけがいのないものとなったに違いない。彼らの今後の成長とともに、この素晴らしい意義を持つ大会が永遠に続いていくことを心から願いたい。

文・写真=高木遊