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2017.09.04 07:47
野球の力でアジアの子供たちの未来を守る! 元埼玉西武ライオンズ岡本篤志氏の挑戦
昨シーズンまで埼玉西武ライオンズでおもに中継ぎ投手として活躍した岡本篤志さんは、現役を引退した際、知人から一冊の本を手渡された。ミャンマーに野球を広めた人物であり、ミャンマー代表チームで総監督を務めている岩崎亨氏の著書『ミャンマー裸足の球児たち~元国連職員が蒔いた一粒の種』(アットワークス)である。
「日本人の方がこうしてアジアの国に野球を広めていることに感銘を受けました。でも、もっと衝撃的だったのは、その本に書かれていたミャンマーの子供たちの現実です。ヤンゴンなど都市部は安全でも、田舎のほうに行くと大麻、人身売買、児童労働と子供たちを脅かすいろんな問題がある。そんな中で、スポーツを通じて子供たちをそういった社会問題から守ろうとする岩崎さんの取り組みに心を動かされたんです」(岡本さん)
◆熱中するものを与えて、子供たちが悪い道に進むことをなくしたい
本を読み終えた後、岡本さんは「自分の目でまず見てみたい」と、今年2月にさっそくミャンマーを訪問。国際医療協力などを行うNPO法人ジャパンハートが運営するミャンマーの児童養護施設「ドリームトレイン」を訪れ、子供たちとボール遊びをした。
「親がいないなど、どの子もいろんな事情があって施設で暮らしているのですが、楽しそうに一生懸命ボールを追いかけてくれました。本で読んだ通りみんな裸足でしたけど、本当に嬉しそうで。僕は、あんなキラキラした笑顔を見たのは初めてです。そんな彼らの姿を見て、何かせずにはいられない気持ちになりました」
その後、5月、6月とミャンマーに足を運び、ドリームトレインで野球を教えたり、現地の人たちに楽しんでもらうためにミャンマーのナショナルチームに入って日本人駐在チームと試合を行ったりした。ミャンマーには、まだ娯楽が少ない。かつて日本にもそういう時代があったが、経済の発展とともにスポーツも発展し、徐々にクリーンな社会になっていった。子供たちの笑顔を見ながら、ミャンマーに一日も早くそんな日が訪れてほしいと強く願ったという。
「現実的には、ミャンマーで野球文化が定着するのは、まだ夢のような話。そのため、まずは体を動かして発散する場を子供たちに提供するため、日本の学校の校庭でもよく見かける『スポーツウォール』を設置する取り組みを始めました。野球はもちろん、サッカーやテニスなどの壁打ちもできます。彼らに熱中できるものを作ってあげて、それが悪い道への流れを遮断することにつながればいいなと思います」
◆アジア諸国での普及活動は、日本野球のミッション
四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスには、ミャンマー出身のゾーゾー・ウー選手が所属している。彼のように日本でプレーするミャンマー人選手が増えれば、現地の子供たちも夢を持ってスポーツに取り組むことができるかもしれない。そのために、いずれは日本への野球留学の支援もしていきたいと岡本さんは考え、現地を訪れた際にはミャンマーの教育庁とも情報や意見の交換を行っている。
13年間プロのユニフォームに身を包み、優勝の喜びを味わったこともある岡本さんは、ミャンマーの子供たちに夢を与えたいという思いと同じくらい、野球というスポーツを発展させたい思いもやはり強い。
「2020年の東京大会の後、オリンピック競技としての存続を考えたら、野球をやる国はまだ全然足りないですよね。アジアの国々でも、もっと普及させていかなくてはなりません。それを、野球大国である日本がやらなくてどうするんだと僕は思うんです。僕は一冊の本をきっかけにこうしてミャンマーと縁ができたので、ここでしっかり成功事例を作って、ほかのアジアの国々にもその輪を広げていきたい。僕一人では限界もあるので、一緒に取り組んでくれる選手や支援者など、これから仲間をどんどん増やしていきたいですね」
この活動への支援はこちらから「元埼玉西武ライオンズ 岡本篤志の挑戦」
https://farm-sportsfunding.com/projects/view/66