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2021.03.15 12:30
【今週のJERA セ・リーグ】開幕直前戦力分析!昨季Bクラスの中から優勝争いに加わるのは!?
2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。いよいよ長く険しい戦いが始まろうとしている中、改めて各チームの戦力分析を行い、投手、野手、新戦力の観点から開幕後の戦いを探りたい。まずは昨季Bクラスだった3チーム(DeNA、広島、ヤクルト)を分析する。
■DeNA
5年間続いたラミレス体制に別れを告げたDeNAは、“番長”三浦大輔新監督とともに新たなスタートを切る。
強みは昨季リーグトップのチーム打率を記録した打線だ。梶谷隆幸とロペスが抜けたが、佐野恵太と宮﨑敏郎は健在。2018年、19年の本塁打王・ソト、昨季65試合20本塁打のオースティンの外国人の来日遅れの影響が大きな懸念材料だが、その間に若手が成長すれば、結果的に分厚い打線が完成することになる。
目下、激しいレギュラー争いが続いており、外野では佐野以外の2枠を俊足タイプの桑原将志、関根大気、神里和穀、乙坂智、楠本泰史と、大砲タイプのオースティン、細川成也、蝦名達夫らが争う形。内野では、大和、柴田竜拓、倉本寿彦らがいるが、そこに大卒3年目の伊藤裕季也、高卒2年目の森敬斗、大卒1年目の牧秀悟ら、楽しみな若手が割って入ろうとしている。
課題は投手陣の方だ。特に先発陣。今永昇太、東克樹が万全ならば計算が立てられるのだが、ともに手術明けで開幕は間に合わない模様。現状、大貫晋一、濱口遥大、平良拳太郎、上茶谷大河、阪口皓亮にドラ1ルーキー・入江大生が先発ローテ候補となるが、この6人の昨季勝敗数を合計すると22勝22敗で貯金なし。
今永、東が復帰するまでに、この先発陣がどこまで粘れるか。リリーフ陣は、石田健大、エスコバー、国吉佑樹、平田真吾、伊勢大夢に昨季途中からクローザーを務めた三嶋一輝と駒は揃っているが、昨季までの4年間で219試合に登板したパットンが抜けた影響が心配。昨季大不振だった山﨑康晃の復活が求められる。
新戦力ではまず、ドラフト1位右腕の入江大生が先発ローテとして1年目から働けるかどうか。明大の先輩・森下暢仁(広島)との対決にも注目したいところ。そして、ドラフト2位の牧秀悟も春季キャンプから実戦の中でアピールに成功。人的補償選手として巨人から加わった田中俊太とともに、開幕スタメンへの期待も高まっている。怪我人や来日遅れはあるが、戦力は整っている。あとは三浦新監督の手腕にかかっている。
■広島
就任初年度のシーズンを5位で終えた佐々岡カープは、昨季からの巻き返し、就任2年目の飛躍を誓う。
昨季低迷の大きな要因は故障者だった。だが、大瀬良大地が右肘手術から復活して好仕上がりを見せており、オープン戦での好投は頼もしい限り。昨季新人王の森下暢仁も順調で、この2枚看板は非常に心強い。さらに昨季8勝を挙げた九里亜蓮、同5勝の遠藤淳志と続くが、確定しているのはここまで。野村祐輔と床田寛樹が復調気配を見せているが、先発の5番手、6番手をしっかりと固めたいところだ。
昨季崩壊したリリーフ陣も不透明な部分が多く残る中、ドラフト1位の栗林良吏、2位の森浦大輔、3位の大道温貴という即戦力ルーキートリオが期待されている。この3人がそのまま新たな勝利の方程式となる可能性もある。ケムナ誠、塹江敦哉、島内颯太郎といった若手の成長も求められる。
一方、野手では新外国人のクロンが早期来日からオープン戦でもしっかりと調整しており、開幕から新たな得点源として期待できる。“日本の4番”鈴木誠也は健在で、その後にクロンが存在感を見せることができれば、相手に与えるプレッシャーは大きくなる。あとは、田中広輔、菊池涼介の「タナキク」が状態を上げ、堂林翔太が昨季の勢いを維持できるかどうか。育成出身のプロ3年目外野手・大盛穂のブレイクにも期待したい。
すでに欠かせない戦力となりつつある新戦力組だが、その中で最も期待なのが、やはりドラフト1位右腕の栗林だ。入団前は先発ローテとして期待されていたが、チーム事情でリリーフへ。昨季中盤から抑えを務めたフランスアが右膝手術を受け、新守護神誕生への期待も高まっている。勝ちパターンを確定することができれば、Aクラス復帰と優勝争いは間違いないはずだ。
■ヤクルト
昨季2年連続最下位に終わったヤクルト。就任2年目となる高津臣吾監督とともに下克上を狙う。
打線は楽しみだ。大黒柱の山田哲人が残留したことが今オフ最大の朗報。4番の村上宗隆はまだまだ成長中で、ベテラン・青木宣親も健在。ここに新加入した内川聖一と新外国人のサンタナ、オスナがしっかりと働き、塩見泰隆、山崎晃太郎が期待に応えること。
そしてブレイク候補に挙げられる20歳のスラッガー・濱田太貴が輝けば、かなり強力で楽しみな打線となる。他球団同様に外国人選手の来日が遅れており、その間に坂口智隆や川端慎吾、宮本丈、中山翔太といった日本人選手が結果を残せるかどうかも大きな鍵になるだろう。
問題は投手陣。先発投手陣の駒不足は誰の目から見ても明らかだ。小川泰弘がチームに残留したことは大きいが、先発ローテが確定しているのは、その小川に加え、スアレス、石川雅規の3人のみ。高梨雄平、高橋奎二、原樹理らのローテ定着が求められるが、開幕前の実戦登板は課題を残す形になった。
サイスニード、バンデンハークが来日すればある程度の安心感はあるが、同時に高卒2年目でのブレイクが期待される奥川恭伸、電撃トレード加入の左腕・田口麗斗、さらに高卒5年目の寺島成輝、大卒ルーキー組の木澤尚文、山野太一の飛躍を求めたいところだ。救援陣は、リリーバーの石山泰稚が残留し、清水昇、マクガフ、長谷川宙輝、梅野雄吾と昨季同様の形が作れる。この救援陣への負担を軽減するためにも先発陣の奮起が必要になる。
新加入組での注目は、内川聖一、サンタナ、オスナの3人。3番・山田、4番・村上の後の5番、6番打者がチームの課題であり、ここに座る打者の成績次第でチームの得点力が大きく変わってくる。外国人組の来日が遅れている中、内川がオープン戦で好調を維持している点は頼もしい。その他、トライアウトを経て獲得した宮台康平、育成契約から即支配下登録された近藤弘樹らの奮闘も期待したいところだ。チームのまとまりはある。あとはどれだけ“厳しさ”を追求できるか。戦力が噛み合えば上位進出は十分にあり得る。