- プロ野球
2017.02.01 11:08
【Baseball Gate Analysis】助っ人投手は“足攻”に弱い?
山田哲人(ヤクルト)の2年連続トリプルスリー、糸井嘉男(オリックス)の史上最年長盗塁王など、足に関するさまざまな記録が生まれた2016年のプロ野球。元来“スモールベースボール”を得意にしてきた日本において、しばしば語られるのが、「外国人投手はクイックやけん制に難があり、足を使った攻撃が有効」ということだ。確かに助っ人が執拗(しつよう)な“足攻”にフラストレーションを募らせ、リズムを崩す場面は印象に残るが、その実情はどうなのだろうか。
まず、ドラフトで指名されたか否かで投手を日本人と外国人に分類。盗塁を企図された数のうち、盗塁を刺した割合を示す盗塁刺率でそれぞれを比べたものが表1だ。12年こそわずかに上回ったものの、直近の4シーズンはいずれも助っ人の方が盗塁を決められる割合が高い。昨季の例を見ると、バンデンハーク(ソフトバンク)とミコライオ(元楽天)は企図された盗塁がすべて成功していた。基本的に外国人投手への盗塁は、好結果につながりやすいようだ。
しかし、盗塁阻止率という指標のみでは、外国人投手への盗塁が有効かどうかを評価しにくい。クイックやけん制が得意な投手は、走者に盗塁をためらわせる“抑止力”が働き、そもそも盗塁を仕掛けられていない可能性が考えられるからだ。
そこで、走者が一塁のみにいる場面に絞り、投手が盗塁を企図された割合を算出した。その結果として浮かび上がったのが、やはり外国人は日本人に比べて積極的に盗塁を仕掛けられている事実だ。昨季のランキングを見ると、ミコライオは無死一塁の状況を32度迎えて17回も走られており、不名誉な二冠に輝いてしまった。
最後に、直近5年間の盗塁刺率と走者一塁時の被盗塁企図割合を散布図で表したのが表5だ。右に位置するほど盗塁を仕掛けられる頻度が少なく、上に行くほど盗塁自体を許していないことになる。
左下で大きく目立っているのが、バンデンハークとファルケンボーグ(元楽天)。この2選手は、ほぼ“フリーパス”状態だったといえる。一方、無死一塁での盗塁刺率で6割以上を記録していたのがジョーダン(中日)とスタンリッジ(ロッテ)だ。くしくも今年に入って再契約が決まった両投手に対しては、盗塁企図を控えたほうが良いかもしれない。
今春には第4回WBCが控える。前回大会では、第2ラウンド初戦のチャイニーズ・タイペイ戦において、9回2死から鳥谷敬(阪神)の盗塁をきっかけに同点に追いついたシーンが強く思い起こされるところだ。今回の代表メンバーにも山田を筆頭に多くの俊足選手がそろう。世界一奪還に向けて、侍ジャパンの“足攻”にも注目したい。
※データはすべて2016年シーズン終了時点
文:データスタジアム