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プロ野球

ソフトバンク・曽根がMVPを獲得「1回でも1軍に上がって試合に出たい」

若手有望選手たちによるプロ野球フレッシュオールスター2017が静岡県草薙総合運動場野球場で行われ、開催53回目にして史上初の両者無得点で9回引き分けとなった。

イースタン・ウエスタン両リーグ計17人の投手それぞれが持ち味を発揮する中、野手で最も輝きを放ったのが、MVPを獲得した曽根海成内野手(ソフトバンク)だ。

京都国際高校出身の曽根は、2013年に育成ドラフト3位でソフトバンクに入団。同期には現在ブレイク中の上林誠知外野手らがいる。プロ3年目の昨冬に参加したウィンターリーグで打率.308と結果を残すと、今春のキャンプでは一軍に抜擢され3月24日に支配下契約を勝ち取った。

そんな飛躍のシーズンに選出されたフレッシュオールスターだったが、「いつも特に何も考えずやっているので、今日もそうしました」と平常心で臨んだ。

ウエスタンリーグの「9番・遊撃手」で先発出場した曽根は、3回の第1打席で右腕・梅野雄吾投手(ヤクルト)の145km/hのストレートをライト線に運ぶ二塁打を放ちチャンスを作った。さらに5回には、左腕・成田翔投手(ロッテ)の140km/hのストレートを右中間に運ぶ二塁打。「二塁打2本を打ったので、これで賞は行けるかなと思いました」と笑って振り返った。

「全部ストレートを狙っていたので、たまたまです」「特に何も考えなかった」など終始飄々とした様子で取材に対応し「僕のインタビューつまんないっすよね。ちょっと次までに勉強しておきます」と苦笑いした。

だが、今季や将来の目標を尋ねると、その言葉には秘めたる思いの強さが垣間見えた。

今季の目標に関しては「1回でも1軍に上がって試合に出たい。同じタイプの選手が多いので、走攻守すべてにおいてレベルアップが必要です」としっかりとした口調で語り、「これからの日本を代表するような選手になりたいです」と将来の目標を力強く語った。

首位争いを繰り広げる1軍でも石川柊太投手や甲斐拓也捕手といった育成出身選手が活躍している中、また新たな下克上物語の序章が始まったかもしれない。そんな予感さえする若鷹の躍動だった。

ウエスタンリーグ選抜 000000000=0
イースタンリーグ選抜 000000000=0
(9回大会規定により引き分け)
【ウ】小野(阪神)、加藤(広島)、丸山(中日)、笠原(中日)、小澤(ソフトバンク)、福永(阪神)、吉田凌(オリックス)、古谷(ソフトバンク)—栗原、長坂、坂倉、久鬼
【イ】今井(西武)、藤平(楽天)、梅野(ヤクルト)、京山(DeNA)、成田(ロッテ)、高橋(ヤクルト)、吉田(日本ハム)、酒居(ロッテ)、畠(巨人)—堀内、宗接
※ウエスタン・古谷のみ2イニング登板

最優秀選手(MVP):曽根海成内野手(ソフトバンク)
優秀選手:藤平尚真投手(楽天)、古谷優人投手(ソフトバンク)

◎中日・笠原祥太郎投手(1イニングのみの登板となった16投手では唯一の3奪三振)

「みんながストレート勝負する中、変化球を結構織り交ぜたので抑えられたのかなと思います(笑)1軍に上がった頃くらいからボールが指にかかるようになり、伸びが出てきました。1安打打たれたのは残念ですが、楽しく投げることができました」

取材・文:高木遊
写真提供:共同通信社