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社会人野球

社会人野球の祭典、都市対抗野球開幕! 優勝をめざす〝元・甲子園球児〟たち

 都市対抗野球が、7月14日から東京ドームで始まる。「大人の甲子園」とも言われるトーナメントの一発勝負、そこには、かつて甲子園で躍動した選手たちも大勢、出場する。プロだけが〝甲子園のヒーロー〟の進む道ではない。社会人野球で今もなお白球を追い続ける、かつての高校球児を何名か紹介したい。

30歳を迎えた駒大苫小牧、全国制覇メンバー

 林裕也は、2004年と2005年の夏連覇した駒大苫小牧の中心選手。2004年は準々決勝の横浜戦で涌井秀章(ロッテ)からサイクル安打を達成し、キャプテンだった2005年には決勝の京都外大西戦で執念のセーフティーバントを決めた。林は駒澤大を経て、30歳の今も東芝でプレーしている。レギュラーではないが、高校、大学と同様、社会人でもキャプテンを務め、チームを9年連続の都市対抗へと導いた。

北海道勢初の甲子園優勝に貢献した林裕也。今年、30歳を迎えた


 駒大苫小牧OBでは、林の1つ下で「メガネの4番打者」として知られた本間篤史が、JR北海道硬式野球クラブでプレーしている。メガネは変わらずだが、バットを短く持った極端なオープンスタンスになって、高校時代を知るファンを驚かせている。

大学時代、投手に専念した花巻東の4番サード

2009年の春・準優勝、夏・ベスト4の花巻東のエースは、150キロ左腕・菊池雄星(西武)だった。その時の4番サードで、マウンドにも上がった猿川拓朗は、東海大進学後に投手に専念し、現在は日立製作所で投げている。東海大時代に先輩の菅野智之(巨人)そっくりな投球フォームになり、社会人で体も大きくなったが、パワーアップがボールの強さと比例せず、「ドラフト候補」のまま社会人4年目を迎えた。それでも元三塁手とは思えないくらい、投手としての総合力は高く、連戦を戦ううえで欠かせない人材だ。

かつて甲子園を沸かせた花巻東の4番打者も今は投手専念。元チームメイト・菊地雄星との投げ合いをプロで見てみたいが……。


 ちなみにこの年の夏、準決勝で花巻東に大勝し、日本一になった中京大中京の3番打者・河合完治は、トヨタ自動車でプレーしている。4番だった堂林翔太(広島)ともども、高校時代の打棒復活を待ち望むファンは多い。

 ここ数年の甲子園でインパクトのあったプレーのひとつが、習志野のホームスチールだろう。2011年夏の1回戦、習志野×静岡の7回裏2死満塁から、三塁走者・宮内和也が決めたホームスチールは、今も語り草になっている。その宮内は明治大に進学したのち、NTT東日本に入社。社会人2年目の今季は3番サードで活躍している。クリーンアップを任されてはいるが、宮内のスタイルは変わらない。しっかりと芯でとらえて出塁し、塁に出たら相手の隙を伺う。将来はプロでというよりも、都市対抗に10年連続出場で表彰されそうな、実に社会人野球らしい選手と言えるだろう。

 2008年の夏は、大型核弾頭・浅村栄斗(西武)をはじめとする大阪桐蔭打線の印象が強い。決勝の常葉菊川戦は17対0と圧倒的な試合内容だった。この時の大阪桐蔭のエースで優勝投手の福島由登は、入社以来Hondaの投手陣を支え続けている。飛び抜けたボールはないものの、キレのある球を低めに集め、時に緩いカーブで緩急をつけるなど、高い総合力で試合を作る。今年の都市対抗予選でも、敗者復活2回戦のJFE東日本戦で先発し、負けられない戦いを制している。

 周囲を驚かせた甲子園優勝投手の〝二刀流〟挑戦

甲子園の優勝投手では、2011年夏の日大三高のエースだった吉永健太郎がJR東日本にいる。早稲田大進学以降は投球フォームに悩んでいたが、今年から外野手にも挑戦し、「二刀流」で活路を見出だそうとしている。春のスポニチ大会では3番DHで出場するなど、高校時代に8番打者だったとは思えないくらい、右方向に打つ技術は優れている。バッティングを楽しむことが、本業のピッチングにも好影響を及ぼすか。

ファンを驚かせた吉永健太郎の野手スタメン。都市対抗ではどんな姿を見せるか。


 2014年夏に超スローボールで甲子園の話題を独占した東海大四の西嶋亮太も、JR北海道硬式野球クラブで都市対抗に出場する。まだ大事な試合を任されるには至らないが、いつか都市対抗のマウンドで、あのスローボールをもう一度見てみたい。

 心身ともに大人へと成長した「元・高校球児」たち。しかし、一つの試合、プレーにかける思いは、あの頃のまま。夏の甲子園の地方大会真っ盛りの7月だが、彼らのプレーにもぜひ注目してほしい。

文・写真/久保弘毅 編集/田澤健一郎