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高校野球

練習364日 上宮太子“必然”のミラクル劇

 ◇第99回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 上宮太子6―5鳳(2017年7月9日 南港中央)

サヨナラ打を放った上宮太子・前田(右)はナインとタッチをかわす

 昨秋の大阪王者がミラクル発進だ。上宮太子は2点を追う9回、相手投手の暴投で1点差に迫ると、なお続く2死一、二塁から前田が左越えへサヨナラの2点適時二塁打。殊勲の背番号12は「(エースの)森田が泣きながら“ありがとう”と言ってくれました」とにこやかに笑った。

 序盤に5点を失う苦しい展開。7回から雨脚が強まり、3点を追う8回無死一、二塁の攻撃中には雷で試合が15分間中断した。試合は7回で成立するだけに、日野利久監督は雷雨によるコールド負けも頭をよぎったという。そんな窮地をしのいだのが最速143キロのエース森田だった。

 ハイライトは0―5の3回1死満塁の場面だ。ブルペンで3球だけ投げた右腕は指揮官に頭を下げた。「行かせてください」―。4番手でマウンドに上がると、後続を遊飛と空振り三振に仕留め、流れをグイッと引き寄せた。8回まで投げ、5回2/3を被安打4の無失点。92球の力投が逆転劇を呼び込んだ。

 昨秋は大阪大会で優勝しながら近畿大会は8強止まり。今春の選抜出場を逃した。その選抜決勝は史上初の大阪決戦で、大阪桐蔭が履正社を破った。「僕たちはあの2校に負けていない」と森田。年間休日は元日の1日だけだ。「ここで逆転できるのは選手が頑張ってきたからこそ。負ける気はしなかった」と指揮官。汗と涙を流した364日の練習は嘘をつかなかった。(吉仲 博幸)