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侍ジャパン

阪神ドラ3・及川 挫折色濃い高校3年間も精神&技術面で成長

 ◇虎ルーキーの素顔に迫る 最高峰の舞台にトライ ドラフト3位・及川雅貴(3)

高校ビッグ4と脚光を浴びた一方で、栄光よりも挫折が色濃い高校3年間だった横浜・及川

 鳴り物入りで横浜に入った阪神ドラフト3位の及川雅貴投手(18=横浜)は、1年夏から甲子園のマウンドに立った。だが、主戦の一人として公式戦のマウンドを任され始めた同年秋から苦しみが始まった。

 先発した神奈川大会準々決勝・鎌倉学園戦では2本の本塁打を浴び押し出し四球を出すなど2回2/36失点と乱れチームもコールド負け。翌春の選抜大会出場を逃した。「忘れられない試合です」。以降、カーブ、2種類のスライダー、チェンジアップという持ち球を「操りきれていない」と判断し、真っすぐとスライダーの2つに絞った。また、投球フォームの模索に時間を費やした。

 2年夏の甲子園では、初戦の愛産大三河戦の投球練習中に「しっくりきていた」というフォームが2段モーションだと指摘を受けるなど事がうまく運ばない。「高校生BIG4」と脚光を浴びた一方で「フォームは引退するまでずっと固まりませんでした」と苦しんだ。3年春の選抜では明豊戦に先発したが4点リードを守れず3回途中5失点で一度、マウンドを譲るなどし初戦敗退。最後の夏は神奈川大会準々決勝で救援に失敗し相模原に逆転負け。栄光よりも挫折の色が濃い3年間だった。

 「悔しい思いが山ほどありますが、横浜高校では精神面でも技術面でも大幅に成長できたと思ってます」

 いずれもドラフト1位でプロ入りしたロッテ・佐々木、ヤクルト・奥川、阪神・西純と並んで「高校生BIG4」と称されたことからドラフト3位という結果に「伸び悩んだ」という声も一部から聞こえてくる。しかし、野球人生を深掘りしてみると、それが的外れな意見だと分かる。秘めたポテンシャルは一度も解放していない。まだまだ成長過程だ。

 雅貴を知る人は皆、「素直な子です」と口を揃える。父・大介さん(44)が「昔から素直で、ヤンチャだとかそういったことはありません」と言えば、母・直美さん(45)は「子育てで苦労したことは全くありません」と笑顔で話す。中学時代にプレーした匝瑳(そうさ)シニアリトルの越川康弘監督(42)も「とにかく素直で、いろんな人の意見を聞いて、自分で考えて努力ができる子」と評価する。そんな雅貴は一流の世界で、一流のノウハウを得て、一流の選手と対戦を重ねることでどんな成長を遂げるのだろうか。

 「これまで夢を与えられる側でしたが、次は自分がその世界で夢を与えないといけない。野球人口は少なくなってきていますし、自分のプレーを見て“野球がやりたい”“野球を続けたい”と思ってもらえるような選手になりたいと思います」

 しなやかなフォームから繰り出すストレートは最速153キロ。他に類を見ない無限の可能性を秘める18歳の左腕は、時間をかけ、猛虎のエースへの階段を上がっていく。(巻木 周平)

 ◆及川 雅貴(およかわ・まさき)2001年(平13)4月18日生まれ、千葉県匝瑳市出身の18歳。須賀小1年から野球を始め6年時に千葉ロッテジュニアに選出。八日市場二中では匝瑳リトルシニアに所属し3年時にU15侍ジャパン代表入り。横浜高では1年春からベンチ入りし2年秋からエース。1、2年夏、3年春と3度甲子園出場。1メートル83、74キロ。左投げ左打ち。