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プロ野球

阪神・梅野が“凱旋アーチ” 家族、友人の前で最高の恩返し

 ◇交流戦 阪神2―5ソフトバンク(2017年6月11日 ヤフオクD)

5回1死、梅野が左越えに2号ソロを放つ

 プロ入り4年目で初めて故郷・福岡での公式戦に出場した阪神・梅野が、11日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で「凱旋アーチ」を放った。

 諦めない心、感謝の思い…沸き立つ様々な感情を、梅野がバットに込めた。3点を追う5回1死。チームとして打ちあぐねていた左腕・山田の低めスライダーを渾身のフルスイングで捉え、最後は左手一本で押し込んだ。力強いライナーは失速することなく左翼スタンドに着弾した。

 「追いかける立場だったので、何とか(したい)と思っていた。低めのボールだったが、うまく前のポイントでさばくことができた」

 今季2号ソロは、4年目にしてヤフオクドームで放った初めての一発。地元の友人や、少年野球チームの監督ら数多くのゆかりある人たちの前で、最高の恩返しを体現してみせた。

 「家族、身内だったり、いろんな人が来てくれたので。負けましたけど、最高の形で(成長した姿を)見せられたと思う」

 開幕スタメンを勝ち取り、地元での待ちに待った“凱旋試合”には、父・義隆さんの姿もあった。プロ入り後、息子の試合を生観戦するのは数えるほど。試合前には「父にシーズン中の試合を見てもらうのは、なかなかないので、しっかり自分のプレーをしたい」と意気込んでいた。

 小学4年の春に卵巣がんで母・啓子さん(享年34)が他界した。男手一つでプロ野球選手まで育て上げてくれた感謝は常に胸に刻む。試合で活躍した際に進呈される副賞の栄養ドリンクなどは、できる限り福岡の実家に送ってきた。どんな物よりも輝きを放つアーチ。プロ野球選手としてできる最高のプレゼントを、最愛の家族に贈った。

 3回には山田の外角直球を逆らわず右前に運んで18打席ぶり、6月に入って初安打をマークするなど、不振だった打撃で復調の兆しを見せた。首位・広島が敗れ、ゲーム差を縮めるチャンスで悔しい敗戦を喫した中、希望の光となったのは背番号44の躍動だ。

 「チームが負けて、この悔しい気持ちを来週、また出していけたらと思う」

 扇の要として、敗戦を引きずることなく、力強い表情で帰路を歩いた。思い出の地でつかんだ手応えを胸に、次なる戦いへ挑む。 (遠藤 礼)