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プロ野球

日本ハム村田、男泣き初勝利 苦節10年“戦力外男”が古巣討ち

 ◇交流戦 日本ハム5―1巨人(2017年6月11日 札幌D)

試合後、ウイニングボールを手に「1勝」のポーズをとる村田

 日本ハムの村田透投手(32)が11日の巨人戦に先発し、5回6安打1失点でプロ初勝利を挙げた。憧れの存在だった巨人・阿部慎之助内野手(38)を無安打に封じるなど、米国仕込みの投球術を披露。巨人から戦力外通告を受け、米球界で腕を磨いた逆輸入右腕が古巣への恩返しとなる勝利で、新たな一歩を踏み出した。

 声を詰まらせ、目には涙が浮かんだ。7年ぶりに国内復帰した村田が日本初勝利を挙げた。しかも、相手は08年から3年間所属した古巣・巨人だった。「プロの選手でやるための土台を築いてくれた僕の大事な3年間。結果を出してお礼をしたかった」。初のお立ち台。こらえていた気持ちがあふれ出した。

 「憧れの選手」という阿部との初対戦。2回に初球の141キロ直球で右飛に打ち取ると、4回も141キロ直球で中飛に仕留めた。巨人時代、故障で2軍で調整中だった阿部に一度だけブルペンで受けてもらったことがある。「同等に対戦できるとこまできたと感じるものがあった」。5回6安打1失点。ツーシームだけでなく、最速145キロの直球も手元でよく動いた。

 「僕もおっさんになった」とはにかむ32歳右腕。転機は意外にも少し前だった。14年シーズンオフ。ベネズエラのウインター・リーグで投手コーチにツーシームの投げ方を伝授された。「ちょっと(指の間隔を)締めて、リリースで指を“切る”。真っすぐ以上に腕を振る」。これまでにない感触だった。手元で動く球で打ち損じを誘い、自然と球数も少なくなった。

 川崎(現ソフトバンク)との出会いも大きかった。3Aの試合で、川崎の一挙一動に沸く大声援に驚いた。「マイナーの試合であんな歓声を聞いたことがない」。さらに食事に誘われ、体一つで自らの道を切り開く姿にも感銘を受けた。「僕はあんなSHOWはできないけど、ああいう選手になりたいと思った」。繊細だった性格は、いつしか川崎のようにずぶとくなった。

 村田のグラブの手のひら部分には16個の$マークが刺しゅうしてある。「世の中お金だけじゃないと思うけど、遊び心も大事」。村田のジャパニーズドリームを切り開く1勝となる。(柳原 直之)

◆村田 透(むらた・とおる)1985年(昭60)5月20日生まれ、大阪府出身の32歳。大体大浪商では2年春の選抜に出場。大体大3年で大学日本選手権初優勝に貢献し、MVPを獲得。07年ドラフト1位で巨人入団。10年オフに戦力外となり、米球界に挑戦。インディアンスで15年にメジャー昇格し1試合登板。今季から日本ハムに移籍した。1メートル83、80キロ、右投げ左打ち。今季年俸は3500万円(推定)。