BASEBALL GATE

大学野球

福井工業大が執念の逆転サヨナラ「4年生とまた試合できることがすべて」【全日本大学野球選手権】

延長10回に劇的な逆転サヨナラ勝ちした福井工業大=神宮球場

★9回二死から起死回生の重盗
 プロや社会人野球で競技を続ける者以外は、4年春で引退となる福井工業大。負けたら学生野球引退となる4年生の思いも乗せて、執念の逆転勝ちで初戦を飾った。

 1点ビハインド9回二死一、二塁で福井工業大・下野博樹監督が動いた。絶体絶命の場面だったが、相手捕手の動きや前打者の4番・芳野了哉内野手(3年・日本航空石川)が空振り三振に取られたことで、ダブルスチールのサインを出すことを決断した。
 そして、2球目に敢行すると、サイドハンド右腕・宮本誉士樹投手(4年・鎮西)の制球も乱れてボールがファウルグラウンドに転々とすると、二塁走者の樋口拓真外野手(4年・九州国際大附)が一気に生還。同点に追いつき延長タイブレークに持ち込んだ。

9回2死から重盗と冒頭で追いついた福井工業大=神宮球場

 一死満塁から始まる延長タイブレークでは4番手の山本凌投手(3年・敦賀工)が死球で押し出しをしてしまうが、代わった山本利樹投手(4年・岡山共生)が後続を抑え、望みを繋いだ。
 するとその裏、選択打順で先頭打者に起用された樋口が外角のストレートを逆方向のレフト頭上へ弾き返し、三塁走者と二塁走者が生還し、劇的な逆転サヨナラ勝ちを決めた。
 下野監督は「序盤は4年生に足を引っ張られましたが、最後は4年生に助けられました」と胸を撫で下ろし、「176名全員の力で勝利することがウチのテーマ。試合後にコーチが話していた“これでまた4年生と試合ができる”という言葉がすべてですね」と目尻を下げた。
 次戦(6月6日神宮球場第3試合)は、昨年の2回戦で敗れている上武大が相手となる。下野監督は「皆さんがそう焚き付けますけどね・・・ギャフンと言わせたいです」と、いたずらっぽく笑った。

この試合のハイライト動画はこちら!

★1回戦・東京農業大北海道オホーツクvs福井工業大
東農大北海道 1001010001=4
福井工業大  2000000012x=5
(延長10回タイブレーク)
【農】●宮本−石井
【工】近藤、加藤、上田、山本(凌)、◯山本(利)−神谷、鈴木

◎東京農業大北海道オホーツク・周東佑京主将(4年・東農大二)

初回に粘って三塁打を放った周東佑京(東京農業大北海道オホーツク)=神宮球場

(ドラフト候補の内野手。初回に50m5秒7の俊足を飛ばし三塁打を放ち、先制点の起点となる)
「全国大会が初めてのメンバーが多かったので、経験のある自分が勢いをつけたいと思っていました。(2打席目以降は無安打に終わり)自分があと1本打てば勝てた試合でした。悔しいです」

文=高木遊
写真=伊藤華子