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大学野球

強打の東洋大を筆頭に立教大、上武大、東北福祉大が優勝争いの中心か。全日本大学野球選手権5日開幕!

昨年は初出場の中京学院大が日本一へ駆け上がった

6月5日から開幕する全日本大学野球選手権。「学生野球の聖地」神宮球場で全国26連盟27校の代表校による大学日本一をかけた熱戦が期待される。今回はその見どころを紹介する。(文・写真=高木遊)
※九州地区大学野球連盟は北部と南部で1校ずつ出場
※大会3日目までは東京ドームも併用

★強打の東洋大、全員野球の立教大

 優勝候補の筆頭は今大会屈指の強打線を誇る東洋大だ。
 昨年から主力の田中将也内野手(4年・帝京)と中川圭太内野手(4年・PL学園)の右のスラッガー2人が3、4番を担う。この2人の前後には、中川と同じくリーグトップタイの3本塁打を放ちリーグ2位の打率.458をマークした古田塁外野手(4年・天理)が2番、打率.483で首位打者を獲得した佐藤都志也内野手(2年・聖光学院)が5番におり、相手投手陣は息が抜けない。
 投手陣も主将も務める右腕・飯田晴海投手(4年・常総学院)が制球力に優れ、ストレートも今春に自己最速となる147km/hをマーク。7種の多彩な変化球も織り交ぜ、今大会はフル回転も期待される。その他の投手陣もサイドハンド右腕・山下雅善投手(2年・東邦)、昨春のセンバツ優勝右腕・村上頌樹投手(1年・智辯学園)、先発もできる左腕・片山翔太投手(4年・大社)ら駒が揃う。
 東都大学野球連盟勢の優勝は2011年の東洋大から遠ざかっており、4強入りも3大会連続で逃しており、今大会はノーシード。1回戦からの登場となるが連盟復権の期待もかかる。
 
 精鋭揃いの東京六大学野球リーグを制した立教大は実に51年ぶりの出場となる。昨年の主力だった澤田圭佑投手(オリックス)、田村伊知郎投手(西武)、田中和基外野手(楽天)、佐藤拓也外野手(JR東日本)が抜けたが、全員野球を掲げ、試合ごとにヒーローが生まれた。
 打線の中心となる4番の笠松悠哉内野手(4年・大阪桐蔭)がリーグトップの16打点を挙げ、投手陣では左腕・田中誠也投手(2年・大阪桐蔭)と右腕・手塚周投手(2年・福島)が台頭し、新人ながら中川颯投手(1年・桐光学園)も緊張感の高い試合終盤で好リリーフを見せた。熾烈なリーグ優勝争いをしてきただけに、トーナメント戦の今大会でも一戦必勝で優勝を目指す。

★粒ぞろいの上武大、東北福祉大

 秋の明治神宮大会も合わせると4季連続全国大会4強入りを果たしている上武大も、東洋大や立教大とは別のヤマから決勝進出を狙い、2013年大会以来2度目の優勝を狙う。
 例年に比べると長打力がやや劣るが、大学球界ナンバーワンの俊足を誇るドラフト候補・島田海吏内野手(4年・九州学院)や抜群のミートセンスがある鳥巣誉議内野手(4年・久留米商)、鉄壁の守備を誇る小豆澤誠内野手(4年・飛龍)らで、どこからでも点の獲れる打線となっている。投手陣も最速148km/hを投じる185cm右腕の西村雅暉投手(2年・熊本国府)や、故障から復帰した左腕・寺沢星耶投手(3年・佐久長聖)ら好投手が揃う。
 率いる谷口英規監督は一戦必勝の姿勢は持ちつつも、自身の現役時代に指導を受けた東洋大・高橋昭雄監督との決勝戦での師弟対決実現にも意気込んでいる。

昨年の準々決勝で東北福祉大との激闘をサヨナラ勝ちした上武大

 また、関東・関西勢以外では最も多い優勝2回を飾っている東北福祉大も総合力が高い。4番に座るドラフト候補・楠本泰史外野手(※今季、内野手から転向/4年・花咲徳栄)を中心とした打線は上記3校に見劣りしない。
 投手陣に絶対的なエースはいないが、最速147km/hのサイドハンド右腕・津森宥紀投手(2年・和歌山東)や、1年生らしからぬ落ち着いたマウンドさばきを見せる左腕・山野太一投手(1年・高川学園)を中心に、元西武外野手の大塚光二監督の投手起用も大きなカギを握りそうだ。

★地方リーグの快進撃にも期待

 昨年優勝した中京学院大のような地方リーグ勢の快進撃も例年の見どころの1つだ。今年はその中でも、5年連続出場でNPB選手を4年連続で輩出している富士大が面白い存在。ドラフト候補の小林遼捕手(4年・仙台育英)が、経験は浅いが活きの良い投手陣を巧みにリードしていきたい。
 また、投打に厚みのある国際武道大、名門復活を狙う近畿大も虎視眈々と上位進出を狙う。
 さらには、スカウトから熱い視線が注がれている近藤弘樹投手(4年・安佐北)と蔵本治孝投手(4年・神戸国際大附)の本格派右腕2人を擁する岡山商科大、初出場を果たした岐阜経済大や和歌山大(今大会唯一の国立大)、震災により昨春はリーグ戦の出場を辞退した東海大九州キャンパスの戦いぶりにも注目したい。

 決勝戦が行われる11日まで(雨天順延の可能性あり)の一発勝負のトーナメントで、どの大学が頂点に立つのか。各校各連盟のプライドを背負った激戦続く1週間がまもなく始まる。