- 大学野球
2019.10.17 13:00
早実時代に甲子園4強入りした大黒柱。伝統校で光る勝負強い打撃に磨きをかける 加藤雅樹(早稲田大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
シュアな打撃と端正な顔立ちで、活躍次第では人気選手となれる要素を持った外野手だ。
早稲田実高時代は1年春から外野手のレギュラー、1年秋から4番に座った。2年で捕手に転向すると3年時は4番・捕手・主将の大黒柱に。当時1年の清宮幸太郎(日本ハム)とともに、夏に甲子園で4強入りする大きな旋風を巻き起こした。
早稲田大では高校通算47本塁打を放った長打力を生かすため外野手に。1年春にリーグ戦デビューを果たすと、2年春に打率.375で首位打者とベストナインを獲得。本塁打も4本放った。
だがその後は大学球界トップの実力を誇るリーグの相手バッテリー陣による厳しいマークに遭い、秋は打率.222。翌春は打率.333を記録するが、秋はまた打率.227に抑え込まれた。
そこで今年は考え込みすぎずにシンプルに自らと向き合い、フォームも1度バットを立てて構える以前のフォームに戻した。するとチーム開幕週の東京大戦から連続本塁打を放って幸先の良いスタートを切ると、打率.396と首位打者こそ僅差で逃したが、自身の過去最高成績を残した。
今秋は絶不調でスタートを切り、小宮山悟監督は「劇薬を投入するかもしれない」と報道陣に先発から外すことを示唆したこともあった。しかし、「彼は背番号10(主将)なので、彼抜きで勝っても彼が死んでしまう」と、腹をくくって加藤の先発と4番での起用継続を決めた対明治大2回戦で試合の流れを大きく変える一打を放つ。
5回二死満塁の場面でしぶとくセンター前に運ぶと、この打球を相手中堅手が後逸。ダイヤモンド一周を全力疾走し生還。続く3回戦でもドラフト1位候補右腕の森下暢仁から自らの安打で得点機を演出し、4対1の勝利に貢献。なんとか優勝戦線に踏ん張る戦いを続けている。
ここ一番の勝負強い打撃は不変。様々な経験を生かして、次のステージでもチームの中心となっていきたい。
文・写真=高木遊