- 社会人野球
2019.10.09 13:00
リードオフマンとして3年越しの悲願を目指す糸野雄星(JR東日本)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
JR東日本──言わずとしれた社会人野球の強豪である。田嶋大樹(オリックス)、吉田一将(オリックス)、田中広輔(広島)らが現役NPBプレーヤーとして活躍中。今年もドラフト1位候補として太田龍が注目を集めている。しかし、今年はその太田以外にも注目選手が複数いる。そのひとりが高卒3年目の糸野雄星だ。
今から3年前、明秀学園日立高校3年生だった糸野は全国大会への出場はなかったものの、中軸として高校通算47本塁打を記録。「打てる遊撃手」として話題を呼んでいた。
3年時には同級生でもある細川成也(現・DeNA)とともにプロ志望届を提出し指名を待った。しかし、名前を呼ばれたのは細川だけ。育成ドラフトを含めても糸野の名前が読み上げられることはなく、JR東日本へと入社する。
入社1年目から代打とはいえ秋の日本選手権で2大大会デビューを果たし、順調にステップを踏んだ。2年目も完全なレギュラーには至らず、都市対抗野球での出場機会はなかったが、着実に出番は増やしていった。
そしてドラフト解禁年となった今年は、都市対抗野球で2試合にスタメン出場。安打こそ生まれなかったが、レギュラーに一歩近づいたことは間違いない。
現に9月以降の公式戦では「1番・遊撃」での出場が続いている。日本選手権の関東代表決定戦、秋季企業大会では5試合全てでリードオフマンを務めているのだ。しかし、打率.182(22打数4安打)と結果を残すには至っていない。
社会人出身の遊撃手といえば、近年では源田壮亮(トヨタ自動車→西武)がプロに入り劇的に飛躍している。今秋のWBSCプレミア12でも日本代表に選出されたほど。その源田は社会人時代から守備には定評があったものの、打撃面では疑問符がついていたことはよく知られている。トヨタ自動車では下位打線を任されたこともあり、「プロでは通用しない」との声が多かったのも事実。しかし、それを覆しチームでは上位打線を引っ張っている。
糸野も打撃面で不安が残るものの、源田のようにプロで開花する可能性は十分にある。現時点で源田のような圧倒的な守備力はないが、二塁、三塁、遊撃と複数のポジションを守れる強みがある。打撃面での対応ができれば、起用の幅は広がりチャンスも増えるはず。
高校時代は細川の隣で涙を飲んだ。奇しくも今年もチームには太田そして山口裕次郎や西田光汰という有望株がいる。今度こそ仲間とともに喜びを分かち合いたい。
(記事:勝田聡)