BASEBALL GATE

大学野球

“勝てる投手”としての資質が高い即戦力候補右腕 大西広樹(大阪商業大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】

大西広樹(おおにし・ひろき) ●守備 投手 ●身長・体重 176cm・80kg ●生年月日 1997年11月4日 ●所属 大阪商業大 ●球歴 大阪商業大高→大阪商業大 ●出身地 奈良県 ●投打 右右

大西広樹(おおにし・ひろき)
●守備 投手 ●身長・体重 176cm・80kg
●生年月日 1997年11月4日 ●所属 大阪商業大
●球歴 大阪商業大高→大阪商業大 ●出身地 奈良県 ●投打 右右

 リーグ戦での通算成績は26勝2敗(10月7日時点)。この数字が示すように勝てる投手としての能力が高い。

 大阪商業大高時代から最速148㎞/hを投げる速球派右腕として評判だった。富山陽一監督に誘われて、大阪商業大に進学すると、1年春からリーグ戦で活躍。これまで4度の最優秀投手賞に輝き、全国大学野球選手権でも通算3勝を挙げている。

 大西が勝てる投手である理由の一つに心身のタフさが挙げられる。先発完投した翌日にもリリーフとしてマウンドに上がることもあるが、「筋肉痛がどうとかは関係ない」と前日と変わらない力強いボールを投げ込んで、チームの勝利に貢献してきた。

 大西の凄みを感じさせた試合が中1日で登板した昨年の大学野球選手権2回戦の徳山大戦だ。タイブレークに突入した10回裏からマウンドに上がると、1死満塁と暴投すら許されない場面でワンバウンドになりやすいフォークを何のためらいもなく多投。

見事、連続三振に切って取り、サヨナラのピンチを防いだ。次の回に味方の失策でサヨナラ負けを喫したが、緊迫した場面でも自信を持って投げ込む姿は圧巻だった。

 そして、勝てる投手として大切な大崩れしない安定感も持ち合わせている。140㎞/h台中盤のストレートにフォーク、スライダー、カットボール、シンカーを操るが、その日の調子に合わせて組み立てを変える柔軟さがある。

 それを発揮したのが、今秋の開幕戦カードとなった龍谷大戦だ。この日はフォークが抜けることが多く、決め球として機能していなかった。その中でシンカーを使って三振を奪うなど、工夫を見せて完投勝利を飾っている。

 本調子でなくとも試合を作ってくれる安心感があり、長いシーズンでも安定した活躍を見せてくれるのではないだろうか。今年3月のプロアマ交流戦では2試合に登板して12回1失点とその実力はプロ相手にも実証済み。プロでも即戦力として期待できるはずだ。

 だが、大西はプロ入りよりもチームの日本一に強いこだわりを持っている。入学してから全国大会には4度出場しているが、最高成績は8強と全国の壁に跳ね返されている。「日本一を目指しているので、勝てるピッチングをしていきたいです」とラストシーズンに向けて意気込む大西。学生最後に全国でも勝てる投手であることを証明したい。

文・写真=馬場遼