- 高校野球
2019.10.08 12:43
ハマスタのバックスクリーンに叩き込んだ二刀流
遠藤成(東海大相模高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
秋田県にかほ市出身。父親はあの、金足農野球部出身だ。全国制覇を狙えるチームで、と〝サガミ〟に入学した。
そして目標は二刀流の大谷翔平。遠藤の投打も両方捨てがたい。
まず、投手として能力を示したのが、今年の甲子園の近江戦。6投手がいる中で、優勝候補同士の大事なカードで先発を任される。
8回途中までヒット2本、1失点に抑え込んだ。与えた四球も二つと崩れなかったことが圧勝の要因になった。しつこい近江打線からフォーク、スライダーで三振を合計8個取っている。自己最速タイの145キロもマークした。要所で投げたストレート。抑えどころを読むセンスを、感じさせた。
6番打者としても好投手、左腕の林から2安打。チームのストロングポイントでもある走塁面でも貢献。2回には盗塁も決め「全力疾走で相手にプレッシャーをかけられた」
続く3回戦。チームは中京学院大中京に痛恨の逆転負けとなった。
遠藤は「6番・ショート」で出場。9回に5番手でマウンドに上がったが、ダメ押しの1点を奪われた。4打数無安打2三振。「自分が打てなくて、チームにリズムを与えられなかった、悔しい」と自身を責めた。
東海大相模では1年春から控えとしてベンチ入り。秋季大会で先発完投勝ちするなど投手のキャリアをスタート。
2年のセンバツの初戦、聖光学院戦にリリーフ救援し、全国デビューを果たす。今年は春の県大会、関東大会の優勝の原動力になっている。
そして、WBSC U-18ワールドカップでは9試合中7試合でスタメン。おもにレフトを守った。選出された野手陣のなかでは韮澤(花咲徳栄)、森(桐蔭学園)らよりも長打力は買われたはずだ。
しかし、不慣れなポジションの影響もあったか、2本の長打を放ったが全体的にはバッティングは振るわず、打率2割を下回った。
終戦となったオーストラリア戦で三振に打ち取られ、最後のバッターになる屈辱も味わっている。
プロ側は野手としての将来性をどちらかというと買っている。
「体の強さがある。肩も強いし、脚力もあるよ。強豪校でショートを任されているというセンスも光る。ボールに差し込まれても打ち返せる。ショートだけじゃなくサードや外野の可能性も広がる」
また、チーム関係者は遠藤の野球への姿勢を褒める。
「もっと能力を出せる選手だと思います。彼には上手くなりたい気持ちがある。練習熱心です」
体のひねりが深く、体幹を生かせるからバットのヘッドスピードが速い。粘り強く食らいつくどん欲さも魅力。
高校通算45本塁打。
3年夏の県大会、決勝。日大藤沢戦で低めストレートをハマスタのバックスクリーンにぶち込む2ランホームランがインパクトを残している。
(文・清水岳志)