- 社会人野球
2019.10.03 17:00
指名漏れから主役へと飛躍!150キロ右腕・宮川哲(東芝)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
安達了一(現・オリックス)以来8年ぶり、投手としては高橋尚成氏(元・巨人ほか)以来20年ぶりに社会人野球の名門・東芝からドラフト1位が誕生しそうだ。最速150キロを超える即戦力右腕・宮川哲である。
宮川は東海大山形高校時代に全国大会への出場はなく、プロ志望届を提出するような存在ではなかった。そのまま関甲新学生野球連盟の上武大学へ進学すると、1年時からリーグ戦に登板し頭角を現し始める。2年時からは3年連続で全国大会にも出場し先発・中継ぎとして結果を残す。
ドラフト前最後のリーグ戦となる4年時(2017年)には春季リーグでベストナイン、最多勝、最優秀防御率とタイトルを総なめ。リーグで唯一、防御率0点台となる0.65を叩き出した。
そして10月。ドラフト会議に向け、島田海吏(現・阪神)らとともにプロ志望届を提出しNPB各球団からの指名を待った。しかし、育成指名を含め名前を呼ばれることはなく、東芝へと入社することになる。
悔しさをバネにしたのか、東芝へ入社後の宮川は大きく飛躍した。大学時代と同様に先発・中継ぎの両役割で起用され、1年目から秋の日本選手権で先発を任されたほど。
同大会の準々決勝で2大大会初登板を果たした宮川は、新日鉄広畑相手に7回まで無失点投球。8回に崩れたものの7.1回3失点、奪三振8と上々のデビューを飾っている。
ドラフト解禁年となる今年は都市対抗野球で2試合に先発した。2回戦のJR東日本東北戦では4.2回2失点、準決勝のJFE東日本戦では5回2失点といずれも試合はつくっている。しかし与四球はいずれも3つと制球面で苦しんだのは事実。課題がないわけではない。
ドラフト会議まで2週間ほどに迫った10月1日。ヤクルトとの練習試合で宮川は8回から中継ぎとして登板した。ヤクルトは若手主体のメンバーとはいえ、2回を投げパーフェクトピッチング。なかでも一軍で2ケタ本塁打を放った廣岡大志から空振り三振を奪うと、36本塁打の村上宗隆を一塁ゴロに抑えたのは好材料だろう。
その試合では151キロのストレート、さらには120キロ台の変化球と緩急をつけて力強い球を投げ込んでおり、ドラフトへ向けて、そして日本選手権へ向けて上々の内容だったと言っていい。
先発・中継ぎどちらでも対応でき、150キロを超えるストレートにカットボールやフォークボールといった変化球もある。欲しくない球団などないはずだ。
2年前にドラフト指名されなかった男が、即戦力の1位候補として主役の座を狙う。
(記事:勝田聡)