- 社会人野球
2019.10.02 17:00
6年連続で全国を経験した男・河野竜生(JFE西日本)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
今回のドラフト会議において、社会人ナンバーワン左腕の称号はこの男のためにあると言っても過言ではない。JFE西日本のエース・河野竜生だ。
鳴門高校時代は1年夏からベンチ入りを果たした逸材。背番号「10」を背負った全国高校野球選手権大会では、初戦である近江高校戦の先発を任されている。しかし、全国のレベルは高かった。
2回に集中打を浴び5失点。植田海(現・阪神)との対戦もあり2安打、1死球と完敗。結局、4回5失点でマウンドを降り、チームも敗れている。2年時はエースナンバーとなり聖地に戻ってきた。
しかし、初戦の九州国際大付属高校戦で6回途中7失点ノックアウト。富山凌雅(現・オリックス)に投げ負け、山本武白志(元・DeNA育成)にも安打を許している。
そして集大成となった3年時は4試合で28回を投げ、防御率3.21と安定した投球を披露。「うずしお打線」を擁して準優勝に輝いた1950年以来のベスト4以上とはならなかったが、ベスト8進出の原動力となった。
しかし、この時点で河野はプロ志望届を提出することなく、JFE西日本へと入社する。
高校時代同様に河野は1年目から、2大大会のひとつである都市対抗野球で補強選手とし選ばれるなど、その実力は抜きん出ていた。
2年目となった昨シーズンも補強選手として都市対抗野球に出場。2試合で7回を投げ自責点は3とまずまずの成績を残す。
そして秋の日本選手権で大躍進を遂げた。なんと3試合で27回を投げ、2完封勝利を含む1失点と準優勝の立役者となったのである。この大会では敢闘賞も受賞しており、一気に名前が知れ渡った。
ドラフト解禁年である今年は、初めてJFE西日本として都市対抗野球に出場を果たす。河野は日本製鉄広畑戦で8回途中2失点と好投するも、準々決勝の東芝戦では3回途中4失点でノックアウト。ベスト8で涙を飲んでいる。
150キロを超えるストレートにスライダー、ツーシームとトレンドとなる変化球を扱っておりどれも精度が高い。また先発・中継ぎどちらでも対応できるのは大きな武器だ。さらには大舞台を数多く経験しているという点も心強い要素のひとつだろう。
このように河野は高校時代から通算すると6年連続での晴れ舞台を経験しているが、これまでに栄冠を手にすることは出来ていない。手にしたことのない優勝という喜びは、ドラフト終了後の日本選手権で叶えるつもりだ。
(記事:勝田聡)