- 社会人野球
2019.09.30 17:00
粗さは伸びしろの裏返し!最速153キロ右腕・太田龍(JR東日本)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
「九州四天王」がいよいよプロの舞台で揃い踏みをする。
今から3年前となる2016年、九州では4人の高校生投手が話題を集めていた。
そのうち、梅野雄吾(九産大九産公高校→ヤクルト3位)、山本由伸(都城高校→オリックス4位)、浜地真澄(福岡大大濠高校→阪神4位)の3人はプロ志望届を提出し、それぞれが指名を受けプロ入りを果たした。唯一、志望届を出さなかったのが、れいめい高校(鹿児島県)の太田龍である。
身長190センチという長身から投げ下ろされるストレートは150キロに迫り、当時から注目を集めていた太田。プロ志望届を提出すれば中位・下位で指名されると目されていたが、太田は社会人の名門・JR東日本の門を叩く。
入社1年目は体作りを中心に取り組んだ甲斐もあり、社会人2年目に太田は主力投手に成長。都市対抗野球の東京都第4代表決定戦で中継ぎとして登板すると、3回無安打無失点投球でみごと胴上げ投手に輝いた。
都市対抗野球本戦でも3試合に登板し、11.1回を投げ無失点の好投で若獅子賞を受賞。まさに飛躍の1年となったのである。
しかし、ドラフト解禁年度となる今年は苦しんでいる。都市対抗野球予選のセガサミー戦では4.1回3失点、明治安田生命戦では5回4失点と圧倒することができない。本戦でも初戦のヤマハ戦では5.1回1失点と好投するも、2戦目となったNTT西日本戦では3回5失点と試合をつくれなかった。
9月4日に行われた日本選手権関東代表決定戦の東京ガス戦では中継ぎで登板。3イニング目となった延長11回に1点を失い、サヨナラ負けを喫している。
ストレートの最速は153キロ。さらにフォーク、チェンジアップと落ちる変化球、さらにはスライダーも操る。ストレート、変化球どちらでも空振りを奪うことができるのが強みだ。一方でストレートがすっぽ抜けることも多く、制球面ではまだまだ荒削りな部分もある。裏を返すと、まだまだ伸びしろがあるということだ。
今年、高校時代のライバルでもあった3人は、キャリアハイの成績を叩き出した。山本は最優秀防御率のタイトルを手に入れ、梅野も中継ぎとして68試合に登板し28ホールドをマーク。浜地も21試合の登板で2勝を挙げている。3年前に3位・4位の評価だったライバルたちが、3年間で大きく成長しているのである。
もちろん太田も社会人野球の舞台で成長した。1位指名を含めた上位での指名が確実視されているのがその表れだろう。
3年間が決して遠回りでなかったことをプロの舞台で証明する。
(記事:勝田聡)