BASEBALL GATE

プロ野球

阪神・鳥谷、今季初打点 94打席目で待望一打「声援に応えられて良かった」

 ◇セ・リーグ 阪神10―3ヤクルト(2019年9月11日 甲子園)

8回1死一塁、鳥谷は左線に適時二塁打を放つ(撮影・坂田 高浩)

 阪神は11日のヤクルト戦が、雨のため1時間7分遅れで始まる中、6月4日以来の2桁10得点をあげ大勝。3位広島とのゲーム差は3・5となり一夜で自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性も復活した。

 午後10時を回り、鳴り物応援が禁止になっても、この夜、一番の盛り上がりが残っていた。今季限りでの退団を表明している鳥谷が5点リードの8回1死一塁で代打出場。カウント2―2から平井の外角低めフォークを流し打った一打は左翼フェンス手前で弾んだ。退団表明以降の初安打。一塁から梅野が一気に生還し今季94打席目で生まれた初適時打で初打点をマークした。

 打席に入る前から鳥谷が“中心”だった。次打者席に姿を現すだけで歓声が起こった。すると、時間が時間だけに空席が目立っていた一塁ベンチ上の座席にファンが殺到。その姿を収めようとスマートフォンのカメラで撮影する異様な現象だった。

 梅野の2点打を見届け打席に向かうと、今度は三塁側席のファンがグラウンド方向に大移動。警備員が緊急出動して制止を試みるなど、なかなか見られない光景の中での打席で今季初打点。割れんばかりの大歓声を全身でに浴びた。起用した矢野監督は打撃フォームの微妙な変化を感じ取ったようで「そういうところに鳥谷の探究心とか、すごさとか、そういうのがあるんじゃないですか」と最敬礼した。

 勝利後、ヒーローインタビューを待つスタンドから「鳥谷っ!鳥谷っ!」と登場を熱望するコールも起こった。その頃、鳥谷はクラブハウスに続く通路で、いつも通り、冷静な表情で報道陣の質問に答えていた。

 「声援に応えられたのは良かった。追い込まれていたけど、良いところへ飛んでくれた」。続けて、ファンは鳥谷を目に焼き付けようとしていると思うがと問われると「自分のできることをしっかりやっていくだけです」とだけ話した。

 不動の遊撃手として君臨した時代も、苦悩の時間が多かったここ数年も、退団が迫る現在も、目の前のプレーに最善を尽くす姿勢は不変で、特定の試合が“特別”になることはない。今日も明日も同じ準備のもと、背番号1はグラウンドに立つ。

 誰もが待ち望んでいた鳥谷の一打でダメを押し、自力でのCS進出の可能性も復活。この1勝をただの1勝で終わらせるわけにはいかない。今宵生まれた勢いを力に変え「逆転CS進出」を現実のものにする。 (巻木 周平)

○…鳥谷(神)が8回に代打で適時二塁打。シーズン94打席目での初打点は、15年の66打席目を上回りプロ16年目で最も遅い記録となった。今季は得点圏で35打数1安打(打率・029)と振るわないが、この日のように走者一塁の場面では15打数6安打(打率・400)と好成績を残している。