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大学野球

メンバー外で知った勝利の大切さ 元星稜4番・鹿屋陸の先制打で国学院大が亜細亜大下し先勝【東都大学野球】

亜細亜大vs国学院大1回戦

★「明日も心一つに戦いたい」

先週、優勝を争う東洋大に痛恨の連敗を喫して、自力優勝の無くなった国学院大だが、苦労人の4年生の一打で亜細亜大に競り勝ち、優勝へ望みを繋いだ。

国学院大は1回、ドラフト候補の山崎剛内野手(4年・日章学園)がセンター前への安打で出塁すると、その後山崎を二塁まで進め、打席には4番の鹿屋陸外野手(4年・星稜)。ここで鹿屋はセンターへ貴重な先制打を放ってチームに勢いをもたらすと、3回には横井佑弥捕手(3年・大阪桐蔭)のソロ本塁打で追加点を挙げた。

このリードを山岡就也投手(3年・広島新庄)と宮内崇匡投手(4年・土浦日大)の左腕リレーで1点に抑え、国学院大が逃げ切った。

殊勲の鹿屋は星稜高3年夏に4番・捕手という攻守の中心選手として甲子園に出場。捕手でありながらも50mを5秒8で走る身体能力で大きな期待を背負い国学院大に入学した。

しかし入学後は、リーグ戦直前やリーグ期間中に外野練習でのフェンス衝突や死球など不運な怪我に見舞われ、なかなかレギュラーを掴むことができず、スタンドの応援に回ることも多かった。これまでの野球生活ではほとんど経験してこなかったメンバー外という現実に「いろいろと思うことはありました」と正直に明かす。

そんな時、救いとなったのがチームの勝利だった。また、優勝を目前にしながら逃す悔しさをも味わった。

「勝った時と負けた時のスタンドの気持ちを理解しているのが、今に生きています。メンバー外が苦しい中で、必死にサポートしてくれたり、“ナイスバッティング!”ってかけてくれる声が凄く嬉しい。だから、そういう人のためにも勝ち続けないといけないんです」

そう以前に話していた鹿屋。それだけに優勝に向けて負けられないこのカードに対する思いは強い。「明日も練習から心一つになって戦いたいです」と試合後も表情を崩さず話す姿は、4番打者としての姿そのものだった。

怪我が多かっただけに「やっと野球ができていて楽しい」と話す鹿屋。自慢の走力を武器にリーグトップの6盗塁を記録している。


◎国学院大・鳥山泰孝監督

「投手陣が毎回走者を出しましたが、しぶとく投げてくれました。鹿屋も4番の仕事をしてくれました。(怪我も多かったが)彼のポテンシャルに対する期待は変わりませんでした。明日も自分たちのできることをやっていきたいです」


亜細亜大 000100000=1
国学院大 10100000X=2
【亜】●中村(稔)、嘉陽、高橋(遥)—佐久本
【国】◯山岡、宮内—横井
本塁打:国学院大・横井《3回ソロ》

文・写真:高木遊