BASEBALL GATE

高校野球

一度は諦めた野球…宇和島東・赤松“感謝”の3安打猛打賞

 ◇第101回全国高校野球選手権大会 第7日2回戦 宇和島東3―7宇部鴻城(2019年8月12日 甲子園)

<宇和島東・宇部鴻城>4回2死二塁、右前適時打を放った宇和島東・赤松(撮影・井垣 忠夫)

 感謝の気持ちをバットに乗せた。5点劣勢の4回2死二塁で、宇和島東(愛媛)の5番・赤松拓海内野手(2年)が「なんとかして後ろの3年生につなごうという意識だった」と浮いた変化球を捉え、右翼への適時打。6回と8回にも安打を放ち、猛打賞の活躍をみせた。21年ぶりの甲子園白星とはならなかったが「自分たちの全ての力は出し切れた。愛媛県代表としてあれだけヒットが出た(13安打)というのは誇りに思っているし、点は取られたけどそれ以上に自分たちの野球は出来た」と胸を張った。

 元々高校で野球をするつもりはなかった。城北中時代は捕手も、異変が起きたのは中学3年時代。イップスを発症し、投手の球を返球することが出来ない。野球が面白くなくなり「もうやめようと思っていた。実家の家業が建築関係なので、建築科のある高校に行こうとしていました」。一度は野球人生に幕を下ろすつもりでいた。

 それでも野球を続けるきっかけになったのは、気心の知れた仲間の存在だった。軟式上がりの3年生が集まるという硬式野球クラブ“宇和島シニア”で「主将をやらせてもらったりして、監督やコーチ、チームメイトもイップスだった自分を受け入れてくれた」。そこで小学校時代の同級生だった和田真心投手と土居毅人投手と再会。「高校でも絶対宇和島東で一緒にやろう」と熱心に誘われた。さらに、城北中時代の一学年先輩で、バッテリーを組んでいた東海林佑亮内野手からも「一緒にやろう」と声を掛けられ「(東海林は)一番自分のことをよく分かってくれている先輩です。宇和島東でみんなとやるなら一緒に甲子園を目指そうと思った」と入学を決断した。

 そしてそんな仲間たちとともに、甲子園にたどり着いてみせた。「野球を続けて良かった。受け入れてくれた先輩たち、そして友達のおかげで今があるので感謝している」。一塁手として、ボール回しの時には二塁の東海林に力いっぱいの送球。赤松なりの感謝の表現だった。

 「3年生がいなくなるのは考えられないくらいさみしいけど、これが現実なので。自分たち2年生が経験させてもらったことはとても大きいし、必ず来年戻ってきて先輩たちの悔しさを晴らしたい」

 感謝の気持ちを忘れずに、再び甲子園に戻ってくることを誓った。