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2016.10.21 08:10
田中に5球団、特A評価が外れ1位…各球団の思惑交錯、ドラフトを振り返る
田中正義(創価大)を巡って各球団が牽制し合う余りに、同じ特A評価の佐々木千隼(桜美林大)が、あろうことか外れ1位の異常事態となった今年のプロ野球ドラフト会議。
■佐々木がまさかの外れ1位、交渉権獲得のロッテは満点に近いドラフトに
田中正義(創価大)を巡って各球団が牽制し合う余りに、同じ特A評価の佐々木千隼(桜美林大)が、あろうことか外れ1位の異常事態となった今年のプロ野球ドラフト会議。5球団の再抽選では、山室球団社長の強運で佐々木を引き当てたロッテは、当初から田中の1位指名を公表していたが、伊東監督は「(1位指名は)佐々木の方が多いと思っていた」と明かした。
田中はMAX156キロの速球がピカイチだが、春先に肩を故障し、夏場には太ももの肉離れを負っていた。涌井、石川に続く先発投手が薄いロッテは、5球団競合のくじに外れたのが逆に幸いしたと言えるかもしれない。2位にA評価の大阪ガス・酒居知史投手、3位には地元・東海大市原望洋高の島孝明投手と将来性と人気を見据えた選手を指名し、6位までが投手。7位に亜大の宗接唯人捕手を抑えて、レギュラーの田村龍弘との競争を図るなど、ほぼ満点に近いドラフトと言える。
最初の抽選は外したとはいえ、ロッテはくじ運に恵まれている。今回は、石川歩、平沢大河を引き当てた“ゴットハンド”の伊東監督ではなかったが、2008年以降の現行制度で、パの勝ち越しはロッテと西武だけ。再抽選を含めると、ロッテはこれで6勝3敗と素晴らしい成績を残している。
また、工藤監督が5球団競合の末に田中の交渉権を引き当てたソフトバンクは、4巡目で真っ先に指名終了となった。最速154キロの高校生左腕・古谷優人(江陵高)を2位指名。3位で高校生ナンバーワン捕手の九鬼隆平捕手(秀岳館高)、4位で三森大貴内野手(青森山田高)を指名した。即戦力と将来性。質、量とも12球団一の戦力を誇るからこそのドラフトとなった。
■「高校BIG4」は全員2位以内、豊作ドラフトを象徴する結果に
田中を外し、再抽選も外した4球団では、巨人が投手から一転、中京学院大の吉川尚輝内野手を指名。遊撃には坂本勇人がいるが、二塁は補強ポイントとなっている。また、7位で台湾出身のリャオ・レンレイ投手を指名。201センチ、125キロの巨漢で話題となっている。名前は知られていないが、巨人の国際担当が目を広い視野で調査し、獲得した“隠し玉”だ。
佐々木の再抽選も外した広島は、やはり投手で153キロ右腕の慶大・加藤拓也投手を指名。育てるチーム方針通り、2位から6位までは、3位の床田寛樹投手(中部学院大)を除いて高校生となった。先発投手の駒がそろってきたDeNAだが、今年も地元・神奈川大の濱口遥大投手を外れ外れ1位で指名。中日はDeNAとの競合で、大学BIG3の明大・柳裕也投手を森新監督が引き当てた。阪神は大学日本代表で、思い切りのいい打撃も魅力の白?大・大山悠輔内野手を単独1位指名。BIGネームは指名せず、やや地味なドラフトになった。
「その年一番の選手を獲る」の方針通りの日本ハムは田中、佐々木を外し、U-18アジア選手権(台湾)でも活躍した堀瑞輝(広島新庄高)を1位指名。台湾までスカウトチームが来て、高校日本代表の試合を全てチェック。先発でも中継ぎでも使え、高校生離れしたスライダーが魅力と判断した。2度くじを外したが、「高校BIG4」にひけをとらない左腕を指名し、育成していくことになる。
今井達也投手(作新学院高)は西武単独1位、寺島成輝投手(履正社高)はヤクルト単独1位、藤平尚真(横浜高)は楽天単独1位、高橋昂也投手(花咲徳栄高)は広島2位と、今年の夏の大会を沸かせた「高校BIG4」は全員2位以内で消え、豊作ドラフトを象徴する結果となった。