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大学野球

明大を日本一に導いた“言葉の力” チームの闘志に火を付けた公家のゲキ

 38年ぶりに大学野球日本一の座に就いた明大。リーグ戦、全日本大学野球選手権とエース森下暢仁(4年=大分商)を軸に順調に勝ってきた印象だが、リーグ戦中、いきなりピンチに立たされたチームを公家響(3年=横浜)の言葉が救っていた。

適時打を放ちガッツポーズする公家(撮影・村上 大輔)

 リーグ戦初戦の立大戦。主将でエースの森下が不本意な投球で敗れた。新しくレギュラーになった選手が多くリーグ初戦の零封負けに自信を失いかけていた。試合後のロッカールームで森下が「きょうは不甲斐ないピッチングをしてしまって本当に申し訳ない。あす(2回戦)はみんなの力で勝って、3回戦は死に物狂いで投げるから投げさせてくれ」と涙ながらに訴えた。

 静まりかえるロッカー。涙を浮かべる森下の姿に驚いたのはもちろんだが、何とも言えない空気が流れた。ちょうどその時だった。公家が突然、静寂を破るように「やりましょうよ!みんなでやってやろうじゃないですか!」と手を叩きながら叫んだ。このゲキに我にかえったナインが呼応するように「そうだ、やってやろうぜ!」と叫んだ。沈んだ空気が一気に変わった瞬間だった。

 そのシーンを振り返った善波達也監督は「森下もよく言ったと思う。みんなの前で頭を下げ涙を浮かべていたからね。それにしても公家がね、実にいいタイミングで声を出したんだよ。一気にまとまったというか、仕切り直しができたというかね。さすが横浜だよ、言うタイミングがわかっているよ」と笑顔で話した。

 この瞬間のことを公家は「暗い雰囲気のままで終わったら、次の試合も絶対うまくいかないと思ったんです。気がついたら反射的に叫んでました」と言う。下級生の丸山和郁(2年=前橋育英)は「森下さんが涙ながらに話していて、僕なんかどうしていいのかわからなかった。公家さんが言ってくれて暗かったロッカーがウォーってまとまった感じになりました」とチームの闘志に火を付けた公家の声に感謝した。

 言葉の力は大きい。このひと声でまとまったチームは、その後一気の10連勝(1分挟む)を達成。5季ぶりにリーグ戦を制した。名門・横浜で主将を務めた公家。リーグ戦では代打での起用が多い男がみせた“隠れたファインプレー”。泣いて詫びた森下も偉いが、公家のような選手がいるチームは強い。