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24歳苦労人 “育成の星”中日・三ツ間 BCリーグの励みになれたら

 新たな育成の星が誕生した。今季、支配下選手となった中日の三ツ間卓也投手(24)が開幕から好投を続けている。15日まで8試合に登板し計8イニングを投げ失点はいまだ0。防御率ももちろん0・00だ。

12日のヤクルト戦でプロ初勝利を挙げた中日・三ツ間(左)は森監督に祝福され笑顔

 「オープン戦から開幕1軍を目指していて、ずっと1軍にいるには…と考えたとき、0点で抑えることだと思った」

 決して順風満帆な野球人生ではない。高崎健康福祉大高崎では控え投手。甲子園出場は一度もなかった。高千穂大に進学後も東京新大学野球2部リーグで3年秋に最優秀防御率のタイトルを獲得するなどしたが、NPBから声はかからず、4年時には不動産会社への入社が内定していた。

 しかし、「プロ野球選手という夢に挑戦したい」と苦渋の決断の末、内定を辞退。BCリーグのトライアウトを受験し、15年に武蔵ヒートベアーズに入団した。投球フォームをサイドスローに変更し、1年目からクローザーとして20セーブをマーク。この活躍が認められ、15年秋のドラフト会議では中日から育成ドラフトで3位指名を受け、念願のNPB入りを果たした。

 昨季はウエスタン・リーグで35試合に登板し、防御率2・19と安定した成績を残し、オフに支配下選手へ昇格。今季は3月31日、開幕戦の巨人戦(東京ドーム)で1軍初登板し、8回の1イニングを3者凡退に封じて快進撃が始まった。

 8日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では1―1の延長11回2死満塁というピンチで登板し、宮崎を見逃し三振。12日のヤクルト戦(神宮)では8回からの2イニングを無失点に抑えると、打線の援護もありプロ初勝利を挙げた。育成出身の勝利投手は球団初である。

 好投が続く要因を三ツ間は「開幕戦で投げさせてもらったことが大きい」と振り返る。超満員の敵地、東京ドーム。開幕戦という独特の雰囲気にブルペンでは緊張のあまり「“どんな顔してんだ”とデニーさんに怒られました」と笑う。それでも1軍デビュー戦となった開幕戦を無失点に抑えた経験は自信につながった。

 さらに登板した日は必ず、自身の投球を映像でチェックし「自分の思っていた球かどうか確認して、ズレがあったら修正しようと」とレベルアップに余念がない。

 チームは開幕してから13試合で延長戦が5度。台所事情の苦しいブルペンに今や欠かせない存在となった。「NPBを目指すBCリーグの選手たちにとってモチベーションとなる存在になれたら」。野球エリートでなくてもプロ野球選手になれる。努力を重ねた苦労人がサクセスストーリーを歩み始めた。(記者コラム・徳原 麗奈)