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「戦力」と認められた輝星 栗山監督が試合後に見せた表情と言葉の変化

 担当記者として、わずかな言葉の変化に気づいた。12日に札幌ドームで行われた広島戦で日本ハムのドラフト1位ルーキーの吉田輝星投手(18)がプロ初登板初先発で初勝利。試合後、賛辞を並べていた栗山英樹監督(58)が最後に「もっともっと天井が高い投手だと思う」と語った。

<日・広>ウイニングボールを手に栗山監督と写真に収まる吉田輝(撮影・高橋茂夫)

 栗山監督は将来有望なスター選手については1年目から積極的に出場機会を与える。金満補強を行わず、適材適所の戦力でシーズンを戦い抜くためには、新風を吹き込むことでチームを勢いに乗せる新戦力の活躍が不可欠だからだ。昨年は高卒1年目の清宮を5月から積極的に起用。2軍落ちも経験しながら何とか7本塁打をマークした将来の4番候補を、ある時期からたとえ殊勲打を放っても「こんな一本で喜んでもらっては困る」などと滅多に褒めなくなった。

 そんな選手は過去にもいる。入団から二人三脚で二刀流として成功させた大谷(現エンゼルス)だ。求めている「天井」が高いからこそゲキを飛ばし続けて成長を促し、現在はメジャーの常識を覆す存在となっている。試合前は「結果はどうでもいい。良い方に出ようが、悪い方に出ようが、そのもの自体が、すごく大きな意味を持ってくれる」と吉田輝への思いを語っていた栗山監督は、セ・リーグ4連覇を狙う広島相手に見せた5回1失点の力投を飛び上がって喜びたかったはず。試合後の会見の途中で感慨深げな表情を消し去って褒めるトーンを弱めたのは新風を吹き込むどころか優勝を目指すための「戦力」として認めたからだろう。

 同じ試合、2年目の清宮は初回の好機で内容が薄い空振り三振に倒れると、3回の2打席目で早くも代打を送られた。あまり口には出さないが「東京五輪で日本代表の中軸を打たせたい」という野望を持つ栗山監督にとって、高卒2年目の20歳はもう出場機会を「与える」選手ではないからだ。今後、吉田輝が初完投や初完封を果たした時、指揮官は試合後にこう言うだろう。「まだまだこんなもんじゃない」と。(山田 忠範)