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大商大は大西だけじゃない!左のエース・橋本侑樹が復活の完投勝利【6/12 第68回全日本大学野球選手権 2回戦 大阪商業大vs九州産業大】

 初の日本一を狙う大阪商業大が前回4強の九州産業大を2対1で破り、4年ぶりの8強進出を決めた。

 勝利を引き寄せたのは先発左腕の橋本侑樹(4年・大垣日大)。140㎞/h前後ながらノビのあるストレートを武器に被安打3、自責点0の完投勝利を飾った。

最後の打者を打ち取った橋本侑樹は渾身のガッツポーズ

最後の打者を打ち取った橋本は渾身のガッツポーズ

 最速148㎞/hを投げる本格派左腕で、2年秋には関西六大学リーグで最優秀選手賞に輝くなど1回戦で1失点完投した大西広樹(4年・大商大高)と並ぶエース格だった橋本。しかし、春のリーグ戦では左中指のマメが取れた影響で4試合に登板してわずか1勝と実力を発揮できずにいた。

 不本意な春を過ごしてきたが、全国の舞台で本来の力を取り戻した。「コントロールを意識して投げました」と四死球2つの安定した投球を披露。3回に失策と内野安打で1点を許したが、終始危なげなかった。

 登板前には大西から東京ドームのマウンドの傾向を聞いて対策を練っていた。「大西とはマウンドの傾斜が強いという会話をしました。傾斜が強いと顎が上がりやすいので、帽子を深くかぶるようにしました」と入念な準備を怠らなかったことで、慣れない球場でも本来のパフォーマンスを発揮した。

 最後の打者を一塁ゴロに打ち取ると、会心のガッツポーズ。「チームが勝てたのが一番嬉しかったです。リーグ戦ではあまりいいピッチングが出来ていなくて、チームに迷惑をかけていたと思うので、今日はなんとしても勝とうという気持ちで投げていました」とチームに貢献できた喜びが溢れていた。

 同期でエースの大西は刺激になる存在だ。「大西はメチャクチャ良いので、負けたらアカンなという気持ちは強いですね」と笑う橋本。翌日の準々決勝に先発予定の大西を温存できたのはチームにとっても大きい。悲願の初優勝に向けて欠かせないピースがついに揃った。

■2回戦:大阪商業大vs九州産業大
大阪商業大 110000000=2
九州産業大 001000000=1
【大】○橋本-岡澤
【九】●福森、岩田、船越、谷口-揚村

◎大阪商業大・富山陽一監督
「橋本は悔しい思いもしましたが、リーグ戦で優勝してから今日のために調整させてきました。今までに恥をかいたこともあったでしょうが、上手く調整してくれました。これで自信がついて、上で野球ができるようなことがあればいいですね」

文・写真=馬場遼