- 大学野球
2019.06.11 20:56
ドラフト候補捕手・海野隆司が自らのミスを取り返す意地の一打で逆転勝ち【6/11 第68回全日本大学野球選手権 1回戦 立命館大vs東海大】
息詰まる接戦となった東海大と立命館大の一戦。一時は立命館大に逆転を許した東海大だが、1点を追う8回裏に一死満塁からプロ注目の捕手・海野隆司(4年・関西)が逆転適時打を放ち、優勝した2014年以来となる初戦突破を果たした。
強肩を武器に大学ナンバーワン捕手とも言われている海野。この日も三振ゲッツーを2つ奪うなど、「守備は誰にも負けない」と自負する守りでチームを支えていた。
しかし、7回表にはその強肩が仇となった。1点リードの一死二、三塁の場面で「あまり投げてこないだろうという雰囲気があった」と三塁に牽制球を投げたが、これが悪送球となり、同点とされてしまう。その直後には代打の山本翔也(4年・立命館)に犠飛を打たれて勝ち越し点を献上した。
それでも東海大は8回裏に一死満塁と一打逆転のチャンスを作ると、4番の海野に打順が回り、挽回のチャンスが巡ってきた。2ボール2ストライクと追い込まれた後のストレートを叩くと、打球はレフト前に転がり、二者が生還。主砲の一振りで逆転に成功した。
実はこの打席では、海野の捕手ならではの読みがあった。相手投手の有村大誠(3年・秀岳館)は「スライダーが良くて普通には打てないと思っていた」と言うほどキレのあるスライダーを投げていたこともあり、海野はストレートに狙いを定めていた。
さらに捕手の大本拓海(4年・掛川西)は昨年12月の侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿で一緒にプレーした経験がある。その際に大本の性格を把握していた海野は、リードの傾向から「どこかでストレートが来る」と予測していたのだった。その読みが見事に当たり、チームを救う逆転打をもたらした。
自らの打撃を「反応で打つタイプではない」と分析する海野。捕手として磨き続けた頭脳で自らのミスを帳消しにする一打を放ってみせた。
原田泰成(4年・東海大望洋)、山﨑伊織(3年・明石商)、小郷賢人(3年・関西)と150㎞/h超え投手を複数擁して5年ぶりの優勝を目指す東海大。強力投手陣を攻守で支える女房役の活躍から目が離せない。
■1回戦:立命館大vs東海大
立命大 000000300=3
東海大 00000202X=4
【立】坂本、●有村-大本
【東】山﨑、○小郷-海野
◎東海大・安藤強監督
「やっと勝てました。昨年は初戦敗退だったので、何とか初戦を取りたかったです。先制して逆転されましたが、リーグ戦から『最後まで何が起こかわからないぞ』と言い続けた結果だと思います」
文・写真=馬場遼