- 高校野球
2017.03.20 08:36
【奪え!主役の座④センバツ2017】植田拓(盛岡大附)身長165cmの小兵スラッガーが再び狙う甲子園弾
★再び狙う甲子園での本塁打
3月19日に開幕した第89回選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)。大会前から大きな注目を集めていた清宮幸太郎(早稲田実/184cm)、安田尚憲(履正社/188cm)、金成麗生(日大三/193cm)に比べると、ひと回り小さい165cmの身長ながら、今大会注目のスラッガーとして肩を並べるのが植田拓(盛岡大附)だ。
今春で春夏合わせ甲子園出場13回(春4回)を誇る強豪で1年春からベンチ入り。1年秋からレギュラーを掴むと、昨夏には甲子園に出場。「松坂二世」の異名を取っていた創志学園の高田萌生(現巨人)から本塁打を放つなど16強入りに大きく貢献した。
また、夏の躍進によって新チームのスタートが遅れ「チーム力が分からない状態でのスタートでした」という関口清治監督の不安を吹き飛ばすように、昨秋もチームを牽引。公式戦通算で打率.512、4本塁打15打点と大暴れ。東北大会からは1番に座り、相手投手としてはいきなり厄介な打者を迎えることとなる。
そんな植田の活躍もあり、昨秋の盛岡大附は、2対6で敗れた東北大会決勝の仙台育英戦を除いたすべての公式戦で、5点以上をマーク。自慢の強打線で昨夏を超える8強進出を目指している。
★天性の素質
コーチ時代も合わせると母校である盛岡大附を指導して18年年目となる関口監督はその潜在能力を高く評価する。
「こんな小さな体で、こんなに飛ばす選手は出会ったことがないですね。打率も残せて足も速いですし、教えてできることではない天性の素質を持っています」
1番の売りである打撃力のルーツは、小学生時代に所属していた硬式クラブの大阪・貝塚リトル時代に遡る。そこでは1日1000スイングを振らなければ練習に入れない日や平日練習もほとんど打撃であったように、幼い頃からバットを振り続けた。そして中学時代(貝塚リトルシニア)には同世代では群を抜くス
イングスピードを得た。
高校でも打撃指導に定評のある関口監督のもとで、着実に力をつけてきた。そんなパワーが嘘かのように本人は「チーム一の小食なんです」と言うが、この冬は食事も多く摂るようにし、体重を3kg増やすことに成功した。
いよいよ迫った2度目の甲子園。「高田投手から打った本塁打は過去のこと。新たな気持ちでセンバツに臨みたいです」と過去の栄光にすがった過信は一切見られない。
小さな体に、さらに馬力を積んだ植田が、地元・関西で再び大暴れを目指す。
文・写真=高木遊