BASEBALL GATE

侍ジャパン

本日開幕!第89回センバツ出場校展望(中国・四国編)

写真提供:共同通信社

3月19日に開幕する第89回選抜高等学校野球大会。今年も北は北海道から南は熊本県まで、全国から32校が甲子園に集結した。「BASEBALL GATE」では地域ごとにその戦力と注目選手を紹介していく。は前回大会・高松商(香川)の準優勝が印象深い中国・四国地区は、合計6校。

■中国
・宇部鴻城(山口)2年ぶり3回目
・市立呉(広島)初出場
・創志学園(岡山)2年連続3回目

 昨秋、2年ぶりの中国大会優勝を決めたのは宇部鴻城(山口)。地元・宇部開催となった中国大会では勝ち進むごとに力強さを増し、準決勝は創志学園(岡山)に逆転勝利。決勝では市立呉(広島)相手に、14安打11得点を入れて大勝した。
 
 チームの中心は4番ショートの嶋谷 将平(3年)。打撃では昨秋公式戦打率.459、13打点。そして守備では守備範囲の広さと肩の強さを生かし、次々と好プレーを連発させて、観客を沸かせた。

 その嶋谷のチャンスメイク役は打率.465を記録した強打のリードオフマン・古谷 慎吾(3年)。颯爽と駆け抜けるベースランニングも目を引く。また、パンチ力ある打撃を武器に9打点を記録した3番・荒武 悠大(3年・一塁手)にも注目だ。

 一方、投手陣は8試合に登板し、防御率2.01の技巧派左腕・早稲田 玲生(3年)がエース。また、最速143キロを出す荒武や、最速141キロ左腕の百留 佑亮も控える。ここまで2度のセンバツでは勝利無し。初戦の相手は大阪桐蔭(大阪)だが、ここで「三度目の正直」を決めたい。

 昨秋の中国大会準優勝により創部10年目での初甲子園をつかんだ市立呉(広島)。率いるのは尾道商で3度のセンバツ出場に導いた中村 信彦監督。尾道商時代は元広島東洋カープの山内 泰幸氏(現:野球解説者)。賀茂時代にはオリックスで活躍する海田 智之など好投手育成に定評がある。なお、市立呉の左腕エース・池田 吏輝(3年)も中村監督の指導を受け、緩急を交えた好投手だ。

 市立呉のウリは粘り強い試合運び。県大会準決勝で広島新庄にコールド負けを喫した後は、3位決定戦で市内のライバル・呉港を破り中国大会進出。中国大会では1回戦で熊毛南(山口)を9対3。広島新庄との再戦となった準々決勝でも相手より少ない9安打で5対3とリベンジを果たした。そして準決勝では鳥取城北(鳥取)と対戦。4回までに6点を奪う先制攻撃で6対3で逃げ切っている。

 公式戦の本塁打は0本だが、4番・主将の新田 旬希(3年・遊撃手)を中心にバント、エンドランを絡めた小技で相手を動揺させる野球で勝ち上がってきた。センバツでも自分たちのスタイルを貫き、初出場初勝利を狙う。

 中国大会ベスト4まで勝ち進んだ創志学園(岡山)は、準決勝で優勝した宇部鴻城(山口)との接戦が評価された。
 
 投打の中心は前チームからの主力である難波 侑平(3年)。投手としては最速143キロのストレートと、ツーシームなどの多彩な変化球も持ち合わせ、昨秋公式戦では11試合に登板し、2完封、防御率1.48。打者としても、打率.364、1本塁打、10打点と勝負強さを発揮する。11試合で9失策と守備も安定しており、盤石な試合運びで上位を目指す。

■四国
・明徳義塾(高知)2年連続17回目
・帝京第五(愛媛)48年ぶり2回目
・中村(高知)40年ぶり2回目 ※21世紀枠

 四国大会を制した明徳義塾(高知)は、昨夏甲子園ベスト4に続き、センバツでも上位を目指す。昨秋は高知県大会決勝で中村に敗れた後、馬淵 史郎監督はチームを引き締め、四国大会では4試合で50安打、チーム打率.385、46得点5失点と投打がかみ合い、圧倒的な試合運びを見せた。

 投手陣では切れのあるスライダーを武器にする好左腕・北本 佑斗(3年)は防御率1.00の。最速139キロの右本格派・市川 悠太(2年)も防御率1.06と北本とそん色ない成績を残している。打線の中心は、熊本北シニア時代、侍ジャパンU-15代表として第2回 IBAF 15Uワールドカップに出場した西浦 颯大(3年・右翼手)。昨秋公式戦では打率.333、1本塁打、6打点。四国大会では不調に終わったが、昨夏グランドスラムを放った甲子園での躍動に期待がかかる。
 
 また、昨秋は5番を打ち打率.480を記録した久後 健太(3年・一塁手)や、同じく打率.462を記録した近本 攻生(3年・二塁手)、神宮大会で本塁打を放った堅守の遊撃手・今井涼介(3年)など巧打者が多く揃っているのも打線の特徴だ。

 四国大会準優勝の帝京第五は、48年ぶりのセンバツ出場となる。率いるのは昨年4月に就任した小林 昭則監督。高校時代(帝京)は、1985年にセンバツ準優勝を経験。筑波大・千葉ロッテマリーンズでもプレーし、母校・帝京高で指導者を務めている。

 チームの中心は4番・捕手の篠崎 康(3年)。冷静沈着なリード面ばかりでなく、昨秋の公式戦で打率.542。内角、外角ともに打ち返せる打撃技術の高さがある。俊足を持ち味にする2番・主将の宮下 勝利(3年・遊撃手)は昨秋公式戦で10盗塁を記録している。また、10試合で89四死球を選び、.453をマークした出塁率にも注目だ。
 投手陣では技巧派左腕・岡元 健太朗が軸。岡元は昨秋公式戦8試合を投げて防御率2.50。四国大会では前回センバツ準優勝の高松商(香川)を8回6安打完封した。

 21世紀枠出場となった中村は昨秋の高知県大会決勝で明徳義塾を破り、県大会優勝。四国大会では、初戦となる準々決勝で英明(香川)に敗れたが延長13回の激闘を見せた。大黒柱はエース・4番の北原 野空(3年)。昨秋は6試合に先発し5完投。明徳義塾戦含む2完封、防御率1.31。最速137キロのストレートをより速く見せる100キロを切るスローカーブ、ドロップカーブなど変化球も多彩であり、スイング力にも長ける。
 昨秋は高知県大会・四国大会6試合は通じてコールド勝ちなし。しぶとい試合運びも目立った。40年前は部員わずか12人で、快進撃を見せ、決勝まで勝ち上がった中村。今年も選手16人と少人数の中、3,000人以上がアルプススタンドへ詰めかけると見込まれる地元住民を感動させる戦いを見せる。