BASEBALL GATE

侍ジャパン

本日開幕!第89回センバツ出場校展望(近畿編)

写真提供:共同通信社

3月19日に開幕する第89回選抜高等学校野球大会。今年も北は北海道から南は熊本県まで、全国から32校が甲子園に集結した。「BASEBALL GATE」では地域ごとに出場チームの戦力と注目選手を紹介していく。近畿地区では2016年、前回センバツベスト8のうち優勝した智辯学園(奈良)をはじめ、龍谷大平安(京都)、明石商(兵庫)、滋賀学園(滋賀)と4校を輩出し、今大会でも大挙7校が出場する近畿地区を追う。

<近畿地区> 
・履正社(大阪)3年ぶり7回目
・神戸国際大附(兵庫)7年ぶり4回目
・大阪桐蔭(大阪)3年連続9回目
・滋賀学園(滋賀)2年連続2回目 
・智辯学園(奈良)2年連続11回目
・報徳学園(兵庫)3年ぶり21回目
・高田商(奈良)23年ぶり3回目
 
 昨秋の近畿大会を11年ぶりに制し、続く明治神宮大会でも頂点を獲得した履正社(大阪)。寺島 成輝(現・東京ヤクルトスワローズ)、山口 裕次郎(現・JR東日本)の両左腕をはじめ大型選手をそろえていた旧チームと比べ、結成当初スケールは小さかったが、最速145キロ右腕・竹田 祐(3年)、西日本最強スラッガー・安田 尚憲(3年・三塁手)、主将で近畿大会2本塁打の若林 将平(3年主将・左翼手)を中心にまとまり、各人も成長した。

 投手陣ではエースの竹田に加え、速球派右腕・田中 雷大(3年)、左腕・松井 百代(3年)の3枚看板が目玉。打線は秋季大会16試合で15本塁打を放った長打力は大会トップクラスであり、秋の公式戦で4本塁打の安田、3本塁打の若林のほかに投手ながら2本塁打を放った竹田、強打の1番・石田 龍史(3年・右翼手)、2本塁打を放った捕手・片山 悠(3年)なども控えている。どこからでも長打を打てる布陣となっている。秋、課題となった守備の精度を高めて、2014年、あと一歩で届かなかったセンバツ初制覇を目指す。

 近畿大会準優勝の神戸国際大附(兵庫)は昨夏からの経験者がチームを引っ張る。エースの黒田 倭人(3年)は、球速は130キロ台ながら、キレのある変化球を持ち味にする左腕で、ピンチになっても動じない度胸の強さが魅力。昨秋公式戦では防御率1.02と安定感を誇った。また右腕・岡野 佑大はストレートとスプリットが持ち味で、兵庫県大会・近畿大会通じて6試合に登板で防御率3.00。センバツでも登板が十分に考えられる。

 打線は守備でも扇の要を務める猪田 和希(3年・捕手)が軸となる。昨秋公式戦では、4本塁打・14打点・打率.474。さらにほとんど盗塁を許さなかったスローイングも持ち味だ。硬軟織り交ぜたチームバッティングにも注目。近畿大会準々決勝の上宮太子(大阪)戦では、バント・エンドランを織り交ぜてコールド勝ち、続く準決勝では大阪桐蔭(大阪)に3本塁打で9回に逆転勝利を収めている。

 近畿大会ベスト4入りした甲子園の常連・大阪桐蔭(大阪)も3年連続のセンバツに登場する。今年のウリは投手陣。最速145キロの徳山 壮磨(3年)、経験豊富な140キロ右腕・香川 麗爾(3年)、最速148キロを計測する2年生右腕・根尾 昂、最速143キロを誇る左腕・横川 凱(2年)の「140キロカルテット」で勝負。旧チームから登板経験を重ねる左腕・井上 大輔(3年)もスタンバイする。

 打線は登板しない際は左翼手を守り4番を打つ根尾が広角にも本塁打を打てる長打力を持つ。さらに根尾の前後を打つ打者たちも脅威だ。昨秋は打率.487、1本塁打、15打点を記録した山本 ダンテ武蔵(3年・右翼手)、リードオフマンとして1本塁打・8打点・打率.487の藤原 恭大(2年・中堅手)、近畿大会3試合で11打数6安打、1本塁打5打点と大当たりだった中川 卓也(2年・三塁手)など、1番~9番まで長打力のある選手がそろう。

 2015年秋の近畿大会準優勝・翌年初出場でのセンバツベスト8に続き、昨秋も近畿大会ベスト4まで勝ち上がった滋賀学園は、1年秋からエースだった170センチ右腕・神村 月光(3年)の成長に期待がかかる。また、棚原 孝太(3年)は近畿大会準々決勝・報徳学園(兵庫)戦で完封勝利。この2人が両輪として活躍すれば強力な投手陣となるだろう。
 打線は1試合平均得点7.52を記録しているように、つながりを見せた時に大量得点が期待できる布陣だ。1番・眞藤 司(3年・中堅手)から始まり、2番・小浜 崚史(3年・遊撃手)。昨年センバツでも活躍した3番・後藤 克基(3年・捕手)、4番・武井 琉之(3年・左翼手)、5番・知念 良智(3年・一塁手)まで本塁打を打てる打者がそろっている。

 昨年センバツ優勝、1981・1982年のPL学園(大阪)以来史上3校目のセンバツ連覇を目指す智辯学園(奈良)。昨秋近畿大会ベスト8まで勝ち上がった原動力は、旧チームよりもパワーアップした投打の人材にあった。
 
 エースの松本 竜也(3年)は、最速146キロのストレートとスライダー、フォークをコンビネーションにする本格派右腕。さらにセンバツ優勝メンバーの強打者コンビ・福元 悠真(3年主将・右翼手)、太田 英毅(3年・遊撃手)も一段と成長している。福元は高校通算本塁打を昨年末までに「35」へ伸ばし、昨秋の公式戦打率.500。奈良県選抜として参加した昨年末の台湾遠征でも木製バットで8安打を記録した。太田も福元と共に参加した台湾遠征の興農大附戦で5打点を記録しているように対応力の高さが光る。

 同じく昨秋近畿大会ベスト8の報徳学園は、2014年春以来となる甲子園出場。今年は4番に座る篠原 翔太(3年・捕手)、枚方ボーイズでは2015年・侍ジャパンU-15代表として活躍し、報徳学園入学後も5番として活躍する右スラッガー・神頭 勇介(2年・一塁手)、軽快な守備とパンチ力がある強打を持ち味にする片岡 心(3年・二塁手)のクリーンナップに加え、ショートストップ・1番の小園 海斗(2年)も好野手だ。

 投手陣は昨秋公式戦全11試合を投げ抜き、防御率2.24、四死球率1.96と安定感と制球力の高さが光る西垣 雅矢(3年)と、三塁手と投手を兼任する池上 颯(3年)の二枚看板で勝負。この春で勇退する永田 裕治監督のためにも2002年以来、3度目のセンバツ優勝を目指す。

 履正社の明治神宮大会優勝に伴い、1枠増となった近畿地区7枠目で選出されたのは昨年引退した三浦 大輔投手(元:横浜DeNAベイスターズ)の母校としても知られる高田商(奈良)である。
 
 エース左腕・古川 響輝(3年)は、常時130キロ中盤の速球とキレのある縦スライダーのコンビネーションが強み。61イニングを投げて61奪三振と三振が奪えるのが強みだ。攻撃は昨秋公式戦8試合で26盗塁を決めている機動力がウリ。チームトップの9盗塁を記録している中尾 翼(3年・中堅手)を筆頭に、盗塁を決めている選手が9人もいる。ここぞという場面で盗塁を仕掛け、粘り強く勝ち上がる。