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侍ジャパン

【侍J金メダルへの道】管理栄養士をうならせた広島・鈴木誠也の“成長力”

 【侍ジャパン~2020東京五輪金メダルへの道~栄養サポートパートナー・ザバス(中)】

ザバスの管理栄養士・大前恵さん

 世界と戦う侍ジャパン全世代を支えるのが、「栄養サポートパートナー」のザバスだ。株式会社「明治」は、14年にオフィシャルパートナーとして取り組みを始め、同社のプロテインブランド・ザバスが栄養面を全面サポートしている。トッププロが集う代表チームの栄養補給から台所事情まで、強いカラダをつくり上げ、整えていく取り組みとは。(取材・構成 後藤 茂樹)

 代表合宿中は、管理栄養士の大前恵さんがチームに同行し、選手個々の状態や食傾向などを聞いて回る。今年3月9、10日のメキシコ戦では、ヤクルト・村上宗隆が19歳と最年少で初選出。目指すべき将来像へ相談をされ、体づくりの指針を提示した。

 「村上選手は(チームの)栄養士さんの指導もあり、凄くバランス良く食べていた。プロテインもしっかり飲んでいました。しかし、なぜプロテインを飲むのかという理由は理解できていなかったり。その理由を栄養指導の中で改めて説明したりはしましたね」

 スポーツ栄養学が球界に急速に広まると同時に、選手個々の意識の違いから差も出始めた。「プロテイン摂取が習慣化はされているけど、みんながやっているから、筋肉にいいからなどの理由で飲んでいる選手もいます。実際に摂取してどんな結果につながっているのかまで理解している選手は、そんなにはいないのが現状かなと思っています」と大前さんは感想を口にする。

 「本当のトップを目指すなら、技術面にこだわるのと同じように、プロテイン摂取一つとっても理解しておいた方が良いのは間違いないです」と強調する。

 「意識が高い人は自分で勉強する。突き詰めた練習をすれば、足りない筋力やパーツが分かる。そこをつくるための食事の量、質、タイミングがある。自分の目的に合わせて、例えばプロテインも試合後だけではなく、全体量が足りない時にはプラスしたり、寝る前に摂ったり。知識があれば応用ができ、どんなケースにも対応できますから」

 もちろん12球団もそれぞれのビジョンの元、所属選手への指導を重ねている。「代表でできることは、興味を喚起し、興味を持った人へは情報を還元して。あとはそれをどう継続してくれるか」と大前さんは続けた。

 多くの選手の変化を見てきたが、中でも印象に残っているのが広島・鈴木誠也だという。

 「初めは栄養についての理解は高くなかったと思います。ちょっと会話もままならないかなと思っていました(笑)。“ご飯って、たんぱく質ですよね”みたいな」と16年11月の強化試合で招集された当時を懐かしむ。14年の侍ジャパンU―21で初めて栄養サポートを受け、カラダは大きく変わり始めていたが、栄養の知識はまだそれほど備わっていなかった。

 「彼は記憶力がもの凄いし、応用力もある。教わってないことは何も知らない、というだけでした。一度興味を持つとそこからの勉強と、実践力、継続力は本当に凄いなと思います」

 次々と知識を頭に入れて、ストイックに貫き通した。鈴木のカラダが屈強な肉体に急成長していったことは、プロ野球ファンなら周知の通り。大前さんの話をメモして持ち歩き、行き着けの定食屋へ持参するほどだ。遠征先のホテルの食事の質をぼやくことさえあるという。「食事に関しては、おそらく今の日本でもトップといえるくらい、知識を持っていて、栄養面からも様々なことができます」と大前さんがうならされるほど。今年1月にはさらに上を目指し、ザバスと個人的にサポート契約を結んだ。

 現在エンゼルスの大谷翔平は、プロ2年目の14年からザバスのサポートを受け始め、その年の11月の日米野球でトップチーム初代表に。当時20歳だったが「とてもしっかりしていました。サプリメントに関しても常に一生懸命考えて摂っていた」。現在でも渡米し助言を送ることもある。「彼は食事に関してはおおらかなところもあって。細かいというよりも、必要な食材を決まった量摂っているから大丈夫ですよね、という感じ。サプリメントも含めていつでも必要な栄養素量は計算上十分満たしています」と、いい意味で米国での食生活を苦にしない土壌が備わっていたという。

 初めて侍ジャパンのダッグアウト裏にプロテインバーが設置されたその14年の日米野球では、その充実したプロテインの種類と目的に合うものを選べる環境に多くの選手が驚いていた。阪神・藤浪晋太郎、当時オリックス・伊藤光らは、球団へ栄養面のサポート態勢の変革を訴えるきっかけとなった。侍ジャパンに招集されると、背番号が刻印された専用のプロテインシェイカーが全員に手渡される。世界の頂点へ欠かせない、侍たちの必需品となっている。