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公立の星が松本航の背中を追いかけ右肩上がりの成長!4年前の雪辱目指す 吉田大喜(日本体育大学4年)【Future Heroes Vol.8】

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「普段はスポーツをやっていないような優しい感じなんですけど、マウンドに上がると、負けん気も出て一変しますね」

 指導する辻孟彦コーチ(元中日投手)がそう話すように、日本体育大(以下、日体大)の吉田大喜は、普段の穏やかな雰囲気からは想像しづらい力強い投球で相手打者を抑え込んでいく。最速150キロのストレートにカーブ、スライダー、スプリットを織り交ぜながら制球良く試合を組み立てていく。

 大阪で生まれ育ったが中学では軟式、高校では公立校と、有力選手の主流とは異なる道で腕を磨いてきた。
 大冠高では「打倒私学」を旗印に練習に励み、2年春の大阪大会では上宮太子やPL学園を破り3位に。最後の夏も準決勝まで駒を進めた。秋にはプロ志望届を提出するまでになったが指名はかからず、東山宏司監督の母校である日体大に進んだ。


吉田大喜(よしだ・だいき)・・・1997年7月27 日。大阪府茨木市出身。東雲中(軟式)→大冠高→日本体育大学4年。175cm77kg。右投右打。


 日体大では身近に模範となる先輩の姿を見て成長を続けてきた。昨秋のドラフト会議で西武に1位指名された松本航だ。
「入学した時から(エースだった)松本さんを見て“こういう人がプロに行くんだ”と思いました。手を抜かずに黙々とやっていて一緒に練習するだけでも学ぶことが多かったです」と振り返る。

 1年の秋に早くも3勝を挙げたが「自分の中では“活躍した”というイメージはなくて、“もっと成長しないと、もっと練習しないと”という気持ちでした」と驕ることは無かった。体のキレや力強さを求めて、ウェイトやチューブを使ったトレーニングなどで鍛え上げてきた。かねてからコントロールには自信を持っていたが、3年時にはストレートの最速が150キロの大台に乗った。

 また同学年のライバルの存在も大きい。同じく右腕の北山比呂(4年・横浜高)とはグラウンドでは切磋琢磨し、寮では一緒にテレビゲームもする間柄だ(ちなみに、よく『マリオカート』をやるが勝つのはほぼ北山。だが負けず嫌いの吉田が何度も挑んでいくという)。
 昨年12月に行われた侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿では北山のみが召集され、その悔しさも冬場の練習の糧にしてきた。

 そして今春はオープン戦で好投を続け、北山を押しのけて1回戦の先発の座を掴んだ。首都大学野球春季リーグ開幕週の帝京大戦で6回3分の2を投げ2失点、第2週の東海大戦では8回を投げ3失点(自責点2)と試合を作った。ともに白星は付かなかったが、東海大戦を視察したNPB球団のスカウトからは「(この日)最速147キロも出ているし純粋に球が強い。フォームが崩れることもない」と評されるなど、上々の内容だ。

 高校時代は東山監督に勧められ、ダメもとで提出したプロ志望届だったが、今年は「プロ一本です」と決意が違う。さらなる好投を続けてチームの逆転優勝と自らのドラフト指名をグッと近づけていきたいところだ。

 穏やかな口調の裏とマウンドで垣間見せる闘志に、その決意の強さがひしひしと伝わってきた。

文・写真=高木遊