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侍ジャパン

【侍J金メダルへの道】代表チーム普及へのビジョン「侍ジャパンに入りたいという子を増やしたい」

 【侍ジャパン~2020東京五輪金メダルへの道~侍ジャパンキッズアカデミーin大阪】侍ジャパンの吉田正尚外野手(25=オリックス)と、大山悠輔内野手(24=阪神)が8日、大阪市内の小、中学校を訪問し、児童らと触れ合った。「侍ジャパンキッズアカデミー」の活動の一環として交流。「野球離れ」という言葉がささやかれる昨今、野球の普及振興活動は球界全体の使命だが、代表チームならではのビジョンがそこにはあった。

<侍ジャパンキッズアカデミー>西中学校野球部の練習に参加した大山(右から3人目)、吉田正(撮影・森沢裕)

 2選手はユニホーム姿で、小学校で3~5年生約90人に夢について講演した。大阪市経済戦略局スポーツ部が08年より行う「トップアスリートによる『夢・授業』」として、夢を追う大切さを説いた。

 中学校では軟式野球部の部活動に飛び入り参加。キャッチボールやノックに交じり汗を流し、打撃指導した。生徒には内緒のサプライズ訪問。最初は戸惑い気味の部員たちも、次第に「大山君、しっかり声出してください!」といじるなど打ち解け始め、最後は笑顔の輪が満開となった。

 「みんなにも、僕らにとっても、侍ジャパンは憧れのチーム。目指して頑張ってください」

 吉田正は部員たちにそう呼び掛けて別れた。この言葉に、キッズアカデミーの大きな目標が集約されている。

 「侍ジャパンのファンを増やしたい。日本の代表チームを、日本中が応援してくれるものにしたいんです」

 NPBエンタープライズ事業部の長谷部匡信課長は話す。侍ジャパンのスローガンである「全世代結束」の下、あらゆる世代に愛されるトップチームでなければならない。代表チームの認知、支持で、先行するサッカーとはまだ大きな隔たりがあるのが現状だ。

 「プロ野球選手になりたい子はまだ多くいるかもしれません。でも我々は、侍ジャパンに入りたいという子たちを増やしたい」

 キッズアカデミーは昨年11月6日、ソフトバンクの柳田と甲斐が福岡市内の小学校を訪問したのが第1回。今回はそれに続く2回目で中学校の部活を新たなテーマとした。14年の日米野球の沖縄開催時の野球教室など、侍ジャパンの野球普及振興活動は昔からあったが、しっかり継続性を持たせ、ビジョンを明確にした。

 侍ジャパンの活動期間は、1年の中では短い。招集は年数回ほどで、選手が動けるチャンスはごくわずか。地道な努力と、我慢の継続が必要とされるが「将来的には47都道府県全てでアカデミーを行えたら」と前を向く。

 長谷部課長は西武、日本ハムと球団勤務を経てきた。だからこそ分かる、代表チームならではの強み。「12球団の活動では、どうしても保護地域の問題がある。でもジャパンにはない。逆に言えば、日本列島全てが保護地域にあたるわけです」

 野球が大好きな子どもたちと触れ合い、選手も強化試合を前に力をもらった様子だった。

 吉田正は「自分が活躍し、子どもたちが“あの人と一緒に野球したんだよ”という話ができるように。今日は初心に帰ったというか、野球が好きだった少年時代の思いを取り戻しました」と笑顔だった。

 大山は「子どもたちが憧れるような。そういう存在に少しでも近づきたいと思います」と気持ちを新たにした。

 一人でも多くの人の目を向けさせ、より熱い声援が注がれる。それも東京五輪金メダル獲得へ向けて、一つの力となるのは紛れもない事実。グラウンドで戦うのは選手たちだが、どんなアプローチであろうとスタッフの願いは一つの方向を向いている。

 児童らには全員に侍ジャパンの帽子がプレゼントされた。喜んでかぶって帰宅する列を見て長谷部課長はつぶやいた。

 「昔はみんな好きな球団の帽子をかぶっていましたよね。ああしてジャパンの帽子をかぶる子が、少しでも多く見られたら」

 子どもたちの脳裏によりインパクトを残すため、あえてサプライズ訪問の手法をとったのは長谷部課長のアイデア。次のサプライズへ向け、もう頭の中の引き出しを整理し始めていた。(後藤 茂樹)

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