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侍ジャパン

メジャーリーガー不在でも勝てる! 侍ジャパン・先発投手陣の“凄さ”
記事提供=Baseball Crix

(C)共同通信

 小久保裕紀監督の指揮の下、王者奪還を目指して第4回WBCに臨む侍ジャパン。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)といったメジャーリーガーらが参加を見合わせ、さらに今大会でエースとして期待されていた大谷翔平(日本ハム)も、故障により欠場が決まった。それでも菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)など、多士済済の先発投手が集結。ここでは、第4回WBCの侍ジャパン先発陣が持つ力を数字から見ていく。

日本代表の強さを象徴する先発陣

 まず過去3大会の先発陣を振り返ると、防御率はいずれも1点台だった(表1参照)。これこそ、WBC日本代表の強さの源と言えるだろう。第1回WBCでは上原浩治(現カブス)と松坂大輔(現ソフトバンク)の両輪に、アンダースローの渡辺俊介(当時ロッテ)が間を補う形で大会初優勝に貢献。第2回では松坂、岩隈久志(現マリナーズ)の活躍が目覚ましかった。第3回は田中の調子が上がらないというアクシデントこそあったが、もうひとりのエース格・前田健太(現ドジャース)が快投を連発。15イニングを投げてわずか1失点と、抜群のピッチングを披露した。

歴代“最速”の先発陣

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 過去3大会は上原や岩隈ら投球術にたけた投手の活躍が目立っていたが、今大会の先発陣にはそれとは異なる売りがある。それがボールのスピードだ。最速165キロの剛腕・大谷を欠いても、昨季155キロ以上のストレートを投げた選手が5人メンバー入り(表2参照)。なかでも、藤浪晋太郎(阪神)は160キロの大台を記録しており、球威で各国の強打者たちをねじ伏せる可能性を持った選手だ。

高い完成度を誇る菅野

 ここからは有力な先発投手を紹介していく。好投手が顔をそろえるなか、エース格として目されるのが菅野智之である。2016年には自身初の最多奪三振に輝き、球界屈指の完成度を誇る右腕だ。過去5年間のNPBを対象に奪三振数と与四球数で算出されるK/BBという指標を見てみると、2012年の田中の数字が頭ひとつ抜けているなかで、昨季の菅野も田中に次ぐ優秀な数字を残している(表3参照)。また、ここ3年間は失点の危機ともいえる得点圏で粘り強いピッチングを見せている(表4参照)。かつての巨人のエースでK/BBが優れていた上原と同様の働きを、菅野には期待したいところだ。

球界の奪三振マスター・則本

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 菅野と同様に、投手陣のキーマンとなるのが則本昂大だろう。昨季は松坂やダルビッシュも成し遂げていない3年連続の200奪三振以上を記録。直近3年間の奪三振数も、球界NO.1だ(表5参照)。そんな則本の特徴は、あらゆる持ち球のクオリティーが高いこと。球種別の奪空振り率を見ても、すべてのボールでNPB平均を超えている(表6参照)。先発だけでなくリリーフとしての起用の可能性も報じられているが、どの役割を担っても優れた奪三振能力でチームに貢献を果たしてくれるはずだ。

石川の持つWBCならではの強み

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 昨季、パ・リーグで最優秀防御率に輝いた石川歩(ロッテ)。前述の菅野や則本と比べると球威の面では及ばないものの、それをカバーするだけの巧みな投球術を備えた選手だ。2016年の規定投球回到達者を見ると、与四球率でトップ(表7参照)。無駄な四球を与えないこともあり、1イニングあたりの投球数でも1位の有原とほぼ遜色のない数字だった(表8参照)。1次ラウンドで65球、2次ラウンドでは80球、準決勝と決勝が95球の球数制限が課されているWBC。石川が持ち味の省エネピッチングを見せられると、チームの継投プランの大きな助けとなる。

“第2先発”にも力のある投手が並ぶ

 先発が球数などを理由に降板した後、ロングリリーフで登板する投手もWBCにおいては重要な存在だ。この“第2先発”にも、力のある投手が並んでいる。

 千賀滉大(ソフトバンク)と増井浩俊(日本ハム)はともに救援での実績を持ち、ゲームの途中から登板することにアレルギーの心配はない。千賀の武器は鋭い変化を見せるフォーク。昨季のNPBで最も三振を奪った球種(表9参照)でもある伝家の宝刀で、勝利の方程式につなぐ役割を担いたいところだ。増井も千賀同様に力強いストレートとフォークが売り。2016年は8月4日から先発転向すると、見違えるような安定感を発揮した(表10参照)。先発と救援どちらもこなせる両右腕の起用法は、球数制限のあるWBCではより重要なポイントとなるに違いない。

持ち味の違う藤浪や武田をどう使う?

 昨季はやや不満の残るシーズンだった藤浪だが、前述のように最速160キロのストレートは魅力たっぷり。さらに、多くのゴロを打たせられる投手でもある(表11参照)。坂本勇人(巨人)や菊池涼介(広島)などNPB指折りの名手による内野守備の恩恵に期待できそうだ。武田翔太(ソフトバンク)はキャリアで一度も救援の経験がない投手だが、試合序盤の防御率はそれ以降よりも良い数字が残っている。リリーフでは立ちあがりの良さを生かし、普段と違ったピッチングを見せてくれるかもしれない。

 NPB屈指の実力派が顔をそろえた第4回WBCの侍ジャパン先発陣。大会独特の球数制限ルールや滑るボールなど、過去3大会でも悩まされた問題を乗り越え、その実力を発揮できるか。いまこそ日本プロ野球の真価を見せるときだ。
※文章、表中のデータはすべて2016年シーズン終了時点

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