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シアトル・マリナーズ岩隈久志投手が発起人 「アス食プロジェクト」で貧困に苦しむ子どもたちの食支援

いよいよ今週、メジャーリーグでも2017年シーズンがスタートする。一昨年ノーヒットノーランを達成したシアトル・マリナーズの岩隈久志投手は、昨シーズン日本人メジャーリーガー最多の16勝をマークした。昨年3月にオープンした自身監修のトレーニング施設「IWA ACADEMY」も話題になり、グラウンド内外で活躍を見せている。

◆明日を担う子どもたちの食支援

日本球界時代、東北楽天ゴールデン・イーグルスに所属していた岩隈投手は、メジャーリーグ移籍後も継続的に東日本大震災の復興支援を行っている。昨年4月の熊本地震でも発生直後に2000万円を寄付し、「今回のみならず引き続き支援させていただきたい」とコメントを残した。

もともと慈善活動に積極的な岩隈投手だが、2015年4月には自身が発起人となり、『アス食プロジェクト』を発足。これは、日本の子どもの「食の貧困」の解決を目指すもので、名前の由来は「明日(アス)を担う子どもたちをアスリートが支援します」の合言葉から。岩隈投手は、農業生産法人越後ファーム株式会社(新潟県)の協力のもと、このプロジェクトで1投球回毎にお米1万円分を寄付し、そのお米はフードバンク(※)を通して食の貧困に直面している日本の子どもたちに届けられる。昨シーズンは投球回数199回で、199万円分のお米を川崎市と北九州市のフードバンクを通して子どもたちに届けた。

※フードバンク:「食料銀行」を意味する福祉活動。まだ食べられるのに様々な理由で処分される食品を必要な人や施設に届けている。

◆日本の子どもの貧困は深刻な社会問題

現在の日本では、子どもの6人に1人が貧困状態に陥っており、その率は年々上昇していると言われている。これは先進国の中でも極めて高い数字だが、その事実は一般的にはあまり知られていない。プロ野球選手がこういった取り組みを行うことで、実際に子どもが救われるだけでなく、貧困問題そのものが認知され、支援の輪が広がるというメリットも生まれる。

「微力ではあるけれど、深刻な食の貧困問題の解決に少しでも貢献したい。日本の明るい未来を担っていく子どもたちに、プレーを通して少しでも多くのお米を届けられたらと思います」(岩隈投手)

なお、このプロジェクトでは賛同するアスリートを随時募集しているという。相撲界からは嘉風関が手を挙げ、1勝につき10キロのお米を寄付しているそうだ。野球界のみならず、スポーツ界全体でこのプロジェクトが盛り上がることに期待したい。