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「15勝できる」創価大田中か?チーム事情優先か?

ドラフト展望「パ・リーグ編」

■田中正義指名か。回避か。戦略に注目

 今年の超目玉は田中正義(創価大)だろう。最速156キロのストレートを持ちながら完成度も高く、「1年目で15勝はいける」と評するスカウトもいるほど。この田中を競合覚悟で狙いに行くのか、他の候補を指名するのか。各球団の選択が問われそうだ。
 今季、大逆転優勝を果たした日本ハム。毎年「1番の評価をした選手を指名」と公言しており、そうなるとやはり1位・田中が有力だろう。ただチーム事情を見ると、先発・救援問わず左腕のコマ数が不足。そこでリストの上位に位置する寺島成輝(履正社高)や高橋昂也(花咲徳栄高)、さらに地元の古谷優人(江陵高)ら将来性のある左腕に舵を切る可能性もある。また、中山悠輝(東京ガス)を筆頭に右打ち内野手も追い続けているようだ。

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 ソフトバンクはチームの厚い選手層もあり、ここ数年は高校生を中心とした指名が続いている。今年も1位候補には寺島や夏の甲子園優勝投手・今井達也(作新学院高)、藤平尚真(横浜高)を据えているだろう。一方で、今季はリーグ3連覇を逃したこともあり、笠原祥太郎(新潟医療福祉大)や濱口遥大(神奈川大)といった左腕の即戦力にも手を伸ばしそうだ。
 ロッテは左腕不足が深刻化。特に先発で勝利を挙げたのが1人という状況であり、ドラフトでも補強は急務だろう。笠原や濱口に加え、社会人でも池田駿(ヤマハ)や土肥星也(大阪ガス)らもリストアップされている模様。野手では日本人のスラッガータイプが不足しており、大学日本代表の4番・大山悠輔(白鴎大)や社会人の長谷川拓真(JR東日本)などが候補となってきそう。
 3年連続Bクラスの西武も投手の補強が優先だ。中でも救援向きのパワーピッチャーが不足気味で、重点的に指名してくるものと思われる。大学生では中塚駿太(白鴎大)や生田目翼(流通経済大)、小野泰己(富士大)など150キロ超えの逸材は豊富。また野手陣でも、長年固定できていない正遊撃手確保へ京田陽太(日本大)や吉川尚輝(中京学院大)を追っている。3年連続で1位指名有力候補を1本釣りと戦略がうまい球団なだけに、今年もサプライズがあっても何ら不思議ではない。
 昨年は投手指名が1人だった楽天は、ピッチャーをメインに据えることがほぼ確実。田中を筆頭に藤平や柳裕也(明治大) 、谷岡竜平(東芝)などが高い評価を得ているようだ。野手では九鬼隆平(秀岳館高)や糸野雄星(明秀学園日立)など将来性のある長距離砲に熱視線をおくっている。
 支配下で大量指名を見せた昨年のオリックス。今季は最下位に沈んだこともあり、投手を中心に即戦力の指名が続きそうだ。田中や山岡に加え、酒居知史(大阪ガス)や北出浩喜(パナソニック)といった地元企業の投手もリストの上位に。また野手でも西野真弘を筆頭に、近年は中位から下位に指名した社会人選手が渋い活躍を見せている。それだけに今年も身体能力のある水野一世(トヨタ自動車)など特色ある選手がリストに載っているようだ。三軍の開設との報道もあり、今年も多くの選手を指名する見込みだ。
 今季は3位指名だった早稲田大出身の茂木栄五郎が、新人王候補筆頭に挙がる活躍を見せるなど、順位と実力は必ずしも一致しないこともドラフトでは多々ある。今年もそのような選手を探しながら見るのも面白いだろう。運命のドラフト会議は10月20日に行われる。

※データはすべて2016年10月11日終了時点