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プロ野球

今年もサプライズ指名はある?競合回避で「一本釣り」を狙う球団も!

ドラフト展望「セ・リーグ編」

■超目玉・田中正義の行方に注目が集まる今年のドラフト

 「12球団1位指名」。田中正義(創価大)は、昨秋の段階でそのような評価が聞こえるくらいにずばぬけた存在だった。その後は春の右肩の不調や他の選手の台頭もあり、ややトーンダウンした印象だ。それでも2016年ドラフトの一番の目玉であることは疑いようがない。競合覚悟で田中を指名する球団と、他の逸材の「一本釣り」を狙う球団で大きく戦略が異なってくる。
 今季25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島は、投手陣の補強を優先する見込み。そうなると1位候補の筆頭はやはり田中だろう。ただ地元・瀬戸内高出身の山岡泰輔(東京ガス)も高評価。さらに左腕が補強ポイントであることから、こちらも地元の堀瑞輝(広島新庄高)などもリストの上位に名を連ねているようだ。

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 「一新」をスローガンに戦い2位となった巨人。今季の戦いぶりを振り返ってみると、やはりベテラン頼みの印象が拭えず、ほぼ全ポジションでの世代交代が急務だろう。こちらも田中や佐々木千隼(桜美林大)といった大学や社会人の即戦力投手の指名が最優先だが、高校生でも夏の甲子園優勝投手・今井達也(作新学院高)の評価が急上昇。次世代のスターとなる素質もあり、巨人にとってはうってつけの存在だろう。野手では吉川尚輝(中京学院大)がプレーに華のあるタイプ。長年の課題である二塁もこなせるため、有力候補と見られる。
 11年ぶりのAクラス入りを果たしたDeNAは、先発投手が計算できるようになった。そこで、救援も任せられるパワーピッチャーを上位で指名することも考えられる。大学生では黒木優太(立正大)や小野泰己(富士大)、社会人でも谷岡竜平(東芝)などの評価が高い。また、野手では右の大砲候補として、九鬼隆平松尾大河(ともに秀岳館高)の指名も考えられる。ここ数年はドラフトでの補強に成功し、成績向上につなげているだけに、今年も目が離せないチームだろう。
 ヤクルトは、今季2ケタ勝利の先発投手がおらず、救援陣もコマ不足が否めない戦いぶりだった。このドラフトでは、即戦力の投手をどれだけ獲得できるかがポイントだろう。田中や山岡と並んで高評価なのが、佐々木。総合力が高く「完成された投手」との評もチーム関係者から聞かれるほど。他にも左の池田駿(ヤマハ)や加藤拓也(慶応義塾大)など大学生や社会人投手の名前が多く挙がっている。
 今季は高山俊や北條史也など若手野手が台頭した阪神も、投手中心の指名となりそう。大本命は田中を筆頭とした大学・社会人投手だが、そのほかにも寺島成輝(履正社高)や藤平尚真(横浜高)ら高校生にも熱い視線を送っている。また、野手では京田陽太(日本大)や源田壮亮(トヨタ自動車)など二遊間を守れる選手を中心に視察を続けているようだ。
 19年ぶりの最下位となった中日は、大学生の即戦力投手をマークしている。田中や佐々木に加え、試合をつくる能力が高い柳裕也(明治大)や快速球が魅力の中塚駿太(白鴎大)が1位指名の候補となりそう。また数年後を担う存在として、高校生では藤嶋健人(東邦高)に注目している模様。地元のスターをフランチャイズプレーヤー候補生として獲得できるか。
 昨年は阪神が投手中心との報道だったが、直前で路線変更。高山を1位指名し、会場にも大きなどよめきが起きた。今年もサプライズ指名があるのか。運命のドラフトは10月20日に行われる。

※データはすべて2016年10月11日終了時点