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高校野球

高知商部員の有料イベント出演問題 無理があった野球憲章の厳格適用

 【解説】高知商の一件は日本学生野球憲章への柔軟な解釈が必要だった。

甲子園球場

 戦前、学生野球の空前の人気ぶりを重く見た当時の文部省が野球統制令を発令。厳しい規則で直轄した。戦後野球統制令が廃止され学生自治のもとで1950年に作られたのが日本学生野球憲章だ。日本高野連など学生野球団体は自制の意味を込め、これまでも厳格に適用してきたという背景がある。

 第23条には「営利団体が主催するものについては連盟の承認を得なければならない」と記されており、高知商のダンス同好会を営利団体とみなすのかが焦点となった。また第2条4項にある「部員を政治的あるいは商業的に利用しない」という条文は、かつての長嶋茂雄や江川卓のように一般学生が大スターになることが起こり得る学生球界でばく大な金が動いたり、格差が生じるのを防ぐ意味合いが強い。これを高知商に適用しようとしたのは無理があったと言わざるをえない。

 また「学生野球の選手が商業的に利用されてはならないなら、甲子園の入場料は無料に」という議論も巻き起こったが、憲章の第10条3項には「学生野球団体は運営経費、試合・大会に必要な経費に充当するため入場料を徴収できる」と規定され、入場料徴収は運営費に充当すると定められている。運営費には出場校の旅費や宿泊費等も含まれる。

 夏の100回大会を例に開催要項を見てみると、旅費や滞在費補助規定は以下の通り定められている。(日本高野連ホームページから引用)

「1校20人(選手18人、責任教師1人、監督1人)を限度とし次の通り旅費と滞在費補助を支給する。 

(イ)旅費は代表校の所在地から大阪までの往復普通乗車運賃(新幹線、特急、急行料金を含む)、船舶利用の場合は普通二等の乗船運賃を支給する。ただし、沖縄、南北北海道代表校は航空運賃を支給する。 

(ロ)滞在費は抽選日から、その学校の最終試合日までの日数に対し、1日1人4000円を補助する。 

(ハ)前年度優勝校が全国大会に出場できなかった場合、優勝旗を返還する主将と同伴の責任教師に、規定による旅費、滞在費と滞在雑費(1人1日2000円)を支給する」とある。

 入場料は球場使用料などに加え、出場校が無事に甲子園へ来て、現地で過ごすために使われている。入場料を無料にすれば大会の運営自体ができなくなることは容易に想像がつく話だ。憲章を正しく理解した上での議論が必要だ。 (アマ野球担当・松井 いつき)