BASEBALL GATE

プロ野球

【Baseball Gate Analysis】チームの代打起用から見えるもの

 昨季NPBでは計2672回の代打起用が行われ、のべ266選手がピンチヒッターとして打席に立った。代打が占める打席の割合は全体で見ると4.1%にすぎないが、7回以降は10.0%となり、試合のカギを握る重要な役回りといえるだろう(表1参照)。今回は、代打のデータを見ていきたい。

 

■存在感を発揮する代打の切り札

 まず2016年のチーム全体の代打起用割合を、選手個人別に算出した。トップだったのは、上本達之(西武)の30.9%。以下、矢野謙次(日本ハム)や井口資仁(ロッテ)ら、経験豊富なベテランが上位に名を連ねていた(表2参照)。彼らは“代打の切り札”と形容されることも多く、ここぞという場面で首脳陣が自信を持って打席に送る存在。この数字は、監督やコーチの信頼度といって良いかもしれない。

 

■代打打率はDeNA勢が上位

 続いて、代打で高打率をマークした選手をランキングにしたのが表3となる。代打での打数が20以上の選手の中で、最も打率が高かったのは山下幸輝(DeNA)。プロ2年目ながら、25打数10安打で打率.400を記録した。トップ5の中にDeNA勢が山下幸を含めて3選手も名を連ねており、ラミレス監督の1年目の代打采配はさえていたようだ。

■特徴的な楽天の代打起用

 ここからは、チーム単位で代打の傾向について見ていきたい。表4は過去5年間におけるNPB全球団の代打起用回数と代打打率を示したものだ。右に配置されるほど代打の回数が多く、上にあるほど高打率のチームとなっている。グラフを見てまず目に留まるのが、右上にセ・リーグの球団が固まっていることだろう。これは投手が打席に立つことへの影響にほかならず、代打陣が担う役割はセ・リーグの方がより大きいことも物語っている。

 一方のパ・リーグでは、ここ5年間でNPB最高の代打打率.294をマークした楽天に注目したい。楽天を示すえんじ色のポイントを見ると、主に星野仙一監督が指揮を執った12〜14年は代打をあまり使わない傾向があり、打率も日本一に輝いた13年を除けば振るわない。その13年も代打起用が66回と極端に少なく、星野政権下は野手に関してはスタメンを中心に戦ったといえそうだ。

 そんな楽天も、監督が変わった15年からは代打の回数が大きく増えている。代打の使い方は、どんな選手が所属しているかによって左右されるが、監督の考え方も色濃く反映されるのかもしれない。17年から新たに監督に就任するのは西武の辻発彦のみ。西武はもともと代打を告げる回数が多いチームだったが、今季はどのような起用を見せるだろうか。

※データはすべて2016年シーズン終了時点

文:データスタジアム